2017年6月17日(土) 2:00pm 東京文化会館
グラズノフ バレエ音楽≪お嬢様女中≫ 48′
Int
プロコフィエフ ピアノ協奏曲第1番変ニ長調 4+7+4′
ピアノ、若林顕
プロコフィエフ スキタイ組曲≪アラとロリー≫ 6-4-6-6′
アレクサンドル・ラザレフ 指揮 日本フィルハーモニー交響楽団
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大変に素晴らしい演奏会で大満足。
グラズノフが大曲。ラザレフが取り上げてくれなかったら聴く機会が無かったかもしれない。
入れ代わり物ストーリーが目に浮かぶような鮮やかな曲。日フィルのサウンドが素晴らしい。柔らかくて流れがよい。切れ味あるスタッカートとの対話の妙。表現の幅が大きくて自然。アンサンブルの充実は各パートが聞きあいながらプレイしているからだろう。ときおりみせるあの香り、チリチリするようなアンサンブルの妙。オーケストラの一体感がよくわかるもので、好調オケを聴く実感。
終始、小節の頭拍で押していく曲、拍やリズムの変則や強調があまり無くて、スイスイ進んでいく。気持ちが良い。バレエが浮かぶ。
エアクリーナーのような作品ですみずみのチリやほこりを取り去ってくれる。響きの美しさには聴き惚れる。ビューティフル。
ラザレフの音楽描写はお見事。指揮は自然で音楽が呼吸している。ときおりこちらを見ながら気持ちよさそうに振ってますね。しばらく忘れられない優雅な作品と演奏でした。
後半は一変、プロコフィエフ。
1曲目のコンチェルト、ピアノはのべつ幕なしに弾きっぱなし。
若林さんのピアノは昨年2016年の1月にハンマークラヴィーアを聴いて以来のもの。まるで趣向の違う曲ながら弾きっぱなしに変わりはない。
プロコフィエフの1番は回転運動を休みなく続けているような印象。オケ伴奏のフシはあまり洗練されているようにみえない。巨大編成とはいえ巧妙に作られた作品で、オケのデカい鳴りとピアノは被っても聴こえては来る。とは言え、咆哮には咆哮を。
若林ピアノはもっと叩きがあってもいいかと思いましたけれども、一音を叩く間もなく回転を続けないといけない過酷な曲ですね。ピアノも伴奏も引きずられるようなところがなくてエネルギッシュな演奏でした。若林さんならさらに爆発的なプレイも可能だった気はします。
最後のスキタイ。確定爆演満喫。
巨大な演奏でした。4曲ともに印象的。3曲目の夜は落ち着いたものでしたね。
それと最後の4曲目、これってまるごとフィナーレのフィニッシュをずっとやっているようなところがありかなり特殊な鳴りで面白かった。ストリングのギコギコは最後まで圧巻、大変だったと思う。エネルギーの放出のさせ方が少しやにっぽくて効果的だ。
滞空時間の長いばんざいフィニッシュ、ラザレフ。
今回もオーケストラの醍醐味十分に楽しめました。ありがとうございました。
おわり