河童メソッド。極度の美化は滅亡をまねく。心にばい菌を。

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OCNから2014/12引越。タイトルや本文が途中で切れているものがあります。

2702- Music Tomorrow 2019 薮田、藤倉、ベンジャミン、カサブランカス、ブース、ポンス、N響、2019.5.28

2019-05-28 23:00:40 | コンサート

2019年5月28日(火) 7pm コンサートホール、オペラシティ、初台

薮田翔一  祈りの歌(2019)世界初演  3+2、2+4、3+1+3
  ソプラノ、クレア・ブース

藤倉 大  Glorious Clouds for Orchestra(2016/17)日本初演  15

Int

ジョージ・ベンジャミン  冬の心 ソプラノとオーケストラのための(1981) 8
  ソプラノ、クレア・ブース

ベネト・カサブランカス  いにしえの響き(2006)日本初演  16


ジュゼップ・ポンス  指揮 NHK交響楽団


この種の演奏会にしては思いの外盛況で例年よりも多い入りだったように思う。
4曲の出し物、ベンジャミンを除く3作曲家も客席で聴いていて、自作が終わったところできっちりとあいさつにオンステージ。

薮田翔一の祈りの歌。出来上がりほやほやの作品。平成から令和へ、平和を願う祈りの歌。
1部2部、キーンな冴えた響きから始まり、速度をやや上げ2部へ。
3部4部、3部は弦楽四重奏、連続して4部は弦楽合奏。3部から4部へ同じようなモードで音楽は拡大していく。
5部6部7部、ピアノとオーケストラの演奏で始まり、6部のヴォカリーズがほんのワンフレーズあって、そのまま7部へ。5部と6部が混ざったような雰囲気を醸し出す。ソプラノはロングなフレーズを繰り返す。
N響の音が目の覚めるような切れ味サウンド。世界初演に相応しいもの。

素晴らしく魅力的な色彩感覚と、聴後感はなんだか5-7-5的な節世界の味わいを感じる。和調なものではないけれど、素晴らしくバランスの良い作品で、ギクシャクなところが皆無。
落ちついてゆっくりともう一度味わってみたいものだ。


藤倉大の作品は微生物オーケストラ作品。
全奏による細かい振動と前進する泡。高音の弦楽合奏が虫のよう。徐々にブラスとウィンドが長い音で絡まっていく。パーカス含めブラス、ウィンドが切れ切れ音になり、盛り上がりを魅せフラッターのような奏法で峻烈にフィニッシュ。
微生物、作曲家イメージの描写音楽のようにも聴こえるが、ただ、これは描写が時間の推移とともにあるのとはちょっと違っていてあちこちの現象を並列に並べず直列に示したもののように聴こえてくる。
表現の幅が広くて、聴きながら思うのは別の作品では別の手法を駆使しているのだろうなあという、今ここには見えなくても引き出しの多さを感じさせてくれるもの。毎回全力で全部出し切るというタイプではないのかもしれない。

ベンジャミンの雪男、小編成による8分ほどの作品。
前触れがあって、ソプラノの漂うような長い音とミュートをつけたピッコロ・トランペットが溶け合う。というよりも、ソプラノと弦楽の接着剤のような雰囲気でデリケートな吹奏。全体がしぼむように終わる。
ウォレス・スティーヴンスの雪の男スノウ・マンの対訳リブレットを読みながら聴く。なかなかいい味でした。


最後の作品はカサブランカスのいにしえの響き。
管弦楽のための即興曲、大波小波があるが全体的にかなり厚ぼったい。静けさ、ブラスとパーカッションの打撃、効果的なパウゼ。次々と表情が変わってくる。
タイトルのいにしえの響きはパウル・クレーの絵、イメージして聴けばさらに味わいが深かることだろう。
おわり



補足(作品タイトル詳細)

薮田翔一/祈りの歌(2019)*[NHK交響楽団委嘱作品・世界初演]

藤倉 大/Glorious Clouds for Orchestra(2016/17)[第67回尾高賞受賞作品・名古屋フィルハーモニー交響楽団/ケルンWDR交響楽団/イル・ド・フランス国立管弦楽団共同委嘱・日本初演]

ベンジャミン/冬の心 ソプラノとオーケストラのための ――ウォレス・スティーヴンスの詩『スノー・マン』による――(1981)

カサブランカス/いにしえの響き ――管弦楽のための即興曲(2006)[日本初演]



















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