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2010年6月29日(火)7:00pm
サントリーホール
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ブラームス 交響曲第3番
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ブラームス 交響曲第1番
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ラファエル・フリューベック・デ・ブルゴス指揮
読売日本交響楽団
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このような骨太の音を出すオーケストラは日本には他にはなく、大変にブラームスにふさわしいサウンドに他ならない。
プログラム・ビルディングとしては、全楽章ともに消え入るように終わる第3番を前半に置いて、完全な第1番は後半に置く、当たり前というか、いたしかたがないというか、完全な第1番の後で第3番を聴いてみたいような気がしないでもない。運命の後で田園を聴いてみたいと思うのと同じなのだろうか。
ブルゴスを初めて聴いたのはフィルハーモニア管との来日公演、30年以上前。なんだかあまり雰囲気が変わっていない。老いてますます盛んといった雰囲気ではなく、昔のままだ。
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前半の3番はオケがあまり気合が入っていなかったのか、特にウィンドに少し丁寧さが足りなかった。この3番は線香花火が散る間際のようなパラパラ下降する音型が聴かれ味わい深いのだが、この演奏よく聴くとそこらへん不揃い。人によっては後半に焦点をあてながら演奏しているのかもしれない。もうちょっとウィンドの濃い縁どりを聴きたかった。
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第3番も第1番もそうですが、ブルゴスの棒というのはエンディングの表現がかなり丁寧で濃い。一方、音楽が呼吸を変える部分、例えば第1主題から第2主題に移るところ、展開部への経過句、コーダへの盛り上がり、等々、あっさりしていてそのまま流れていく。第1主題のまま第2主題へいくし、コーダへの盛り上がりも節目のようなものがない。いつのまにか変わっている。大げささがなく、これはこれでブラームス的味わいがあるといえるのかもしれないが。
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構えすぎない第1番というのもいい。淡々と流れるという言葉はこの読響には全くふさわしくないものですけれど、この重厚さが淡々と流れるような響きの具合はこれはこれでいいもの、堪能できました。音響規模としてはビックではあるが、全体のはまり具合はこじんまりしている感もある。
第1番を前半に置き、その後に艶のある3番を丁寧な演奏で聴いてみたくなった。
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