河童メソッド。極度の美化は滅亡をまねく。心にばい菌を。

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OCNから2014/12引越。タイトルや本文が途中で切れているものがあります。

2472- シューベルトD959、D960、今峰由香、2017.12.22

2017-12-22 23:28:34 | リサイタル

2017年12月22日(金) 7:00pm Hakuju Hall

シューベルト ピアノ・ソナタ第20番イ長調D959  12-8-4-13
Int
シューベルト ピアノ・ソナタ第21番変ロ長調D960  22-9-4+8

(encore)
シューベルト 即興曲 Op.90-3  5


ピアノ、今峰由香


1年ほど前に出たベトソナ24,25,26と変奏曲の入ったCDを購入して聴いておりまして、その流れでリサイタルを聴きに来ました。

研ぎ澄まされて洗練された音の輝き、音粒の正確な均質感、ピアノの音が身体から出てくるような自然さ、ほどよい距離感、物腰、、
今まで色々とピアノを聴いてきたが、だいぶ違う。しっくりくる。山の高さ、海の深みが、最初からなにかこう、一段違う。

お初で生聴きします。第一印象は音の美しさ。素晴らしくきれいな音。それと、
例えばD959のスケルツォなど、この美しく飛び跳ねるフレーズはどうしてこのような扱い、表現になるのだろうか、なるほどそういう流れなのか。といった具合で、全編に渡り全て納得できるところに落ちる。こういったことが沢山出てくる。丹念な解釈の後の演奏に聴こえる。これも、うなる。ナチュラル。

D959、彫琢された音の美しさにうなるばかり。ハクジュホールは300ほどの贅沢席ホール、天井が高くてピアノの音が押しつぶされることなくきれいに響くので、さらに良い。
大体2楽章までで言いたいことを概ね言い尽くしている感のシューベルト。ベートーヴェン的な壊しては作るといった型ではないいわゆるソナタ形式デフォなので音の流れそのものを満喫すればいいのかなとも思う。
音の粒が徐々に流れとなる第1楽章、見事だわ。ちょっと音が跳び節回しが馴染みやすい第2楽章、最後激しさが覆う。クリアで明瞭、全ての音がくっきりと浮かび上がる。ここまでで大体満足。
と思いきや、次のスケルツォが惚れ惚れする粒立ちで鮮やか過ぎた。ピシーンパシーンと決まる。やっぱりこの楽章、短いけど要る。魅力的だわ。
終楽章の自然な流れと盛り上がり、この感興、パーフェクトでとてつもなく素晴らしい演奏でした。美しい。

鼻かぜ気味なのか楽章間でちょっとグシュグシュありますけど弾くほうは問題無い様で後半D960、これも頭2楽章で言いたいことを大体言っていると思うが冒頭楽章がさらに長くて緩やか。息を整えて、ことも無く渡る平均台のような趣き。作曲家の内面を照らし出す。太過ぎず細すぎず一つの鍵盤と同じような幅で身体から音楽がじわっとにじみ出てくる。
第1主題の後すぐにゴロゴロゴロとくる左手トリルの明瞭なタッチ。もう、いくら長くてもいい、終わらないで欲しいという感じ。
第1楽章の長大なモデラートに続いてアンダンテ楽章。この楽章には第1楽章の響きを今日は特に強く感じた。一体感あるものでした。ここまでで30分越え。
あとは形式を整えるような楽章、と言っては何だが、穏やかだったものが少しずつ浮遊感を感じさせ始め明るさを増して、これからまだ先があるよと言いながらシューベルトが終わる。

ご本人が書いたプログラムノート、味わい深いものです。これら2作品への姿勢、その前にある深い理解。満ち溢れていますね。アカデミックな香りとは別の、愛を感じます。
シュベソナ全部、今、聴きたくなった。ゆっくりタップリ聴きたくなりました。
ためいきばかり出るいいリサイタルでした。
おわり








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