カパコ「この前のリズ子の結婚式楽しかったわね。」
河童「うん。出来ることならアナザー・ワンも早めに実現したいものだね。」
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カパコ「でも一つだけ残念だったことがあるわ。」
河童「なに。」
カパコ「お料理おいしかったけど、パスタがなかったの。」
河童「そういえばそうだった。はしゃぎすぎて他の事に頭がまわらなかった。皿も。」
カパコ「だから、まだおなかがなんとなく落ち着かないの。」
河童「そうか、じゃぁ、久しぶりに行くか。どこか行きたいところある?」
カパコ「そうね。高いとこ。」
河童「......」
カパコ「高いとこ。」
河童「(カパコはこんな露骨な表現するはずがない。)」
カパコ「ねぇ。」
河童「わかった。見晴らしのいい高いところだね。」
カパコ「......」
河童「見晴らしもいいところだね。」
カパコ「そう。両方高いとこ。」
河童「(最近少しずつ自己表現が大胆になってきた。)」
カパコ「どこかいいところないかしら。」
河童「知らないこともないけど。オフィスが多いところだけどいいかな。丸の内あたりで。」
カパコ「待ち合わせが中央郵便局でなければいいわよ。あすこの切手見るとお皿に張り付いたら取れそうもなくて気持ち悪いの。」
河童「待ち合わせは丸ビルだよ。最近、丸ビルが新装開店したみたいだから行ってみるか。昔は地下のカツ丼とかいい食堂があったけど、最近の人間界のワンパターンのビルディングの形にはまいるな。進歩がないというか想像力がないというか、アクセントをつけてもせいぜい吹き抜けぐらいで、ほんと退化してると感じるときさえある。」
カパコ「そんなことどうでもいいから、早く、行くところ教えて。」
河童「うん。36階にある絶景のアンティカ・オステリア・デル・ポンテ。」
カパコ「長い名前だけど、高いとこ好き。いつ行く?」
河童「そうだね。カパコは週末になると忙しくなるお仕事だから、金曜日あたりにしようか。今回は初めてなので夜景ではなく太陽のもと東京の風景でも見ようよ。僕は仕事サボるから。」
カパコ「わかったわ。ランチね。でもランチ・コースはいや。ランチもアラカルトでね。ね、いいでしょ。」
河童「そうだね。カパコのドルチェは別腹だしね。」
カパコ「楽しみだわ。じゃぁ、シーユースーン。」
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河童「わぅ、絶景だぁ。」
カパコ「素晴らしい眺め。」
河童「前面、側面から眺めが見れるとはすごいね。」
カパコ「なんだか、このままどこまでも飛んでいってしまいたい。」
河童「(まだ早いぞ)」
カパコ「なんだか、まわりのバンクとかもみんな低く見えるわね。」
河童「そうだね。昔はそれなりに高層だと思ったんだけど、今こうしてみると時代の流れを感じる。でも110階はいらないけど80階ぐらいの迫力あるビルも欲しいな。」
カパコ「さ、メニュー見よう。」
河童「わぅ。」
カパコ「ホワット?」
河童「いやちょっと目から皿がでた。」
カパコ「今日はランチだからワインはやめましょ。スパークリングで乾杯。ね。」
ワイン以外はいつものようにアラカルト。値段だけのおいしさはある。パスタも素晴らしかったが、羊には悪いがタスマニアのラムのうまさといったら、塩が少々きつめではあったが、極めつくしの美味だった。英伊語に覚えがあればスタッフとのコミュニケーションがさらによくなりいい感じ。お土産もゲット。
ドルチェまで遠慮気味に全て食べ尽くし絶景も見尽くし、あとはフライデー・ナイトに突入するだけ。
河童「そろそろ2時だね。おなかもいっぱいになったし、でようか。」
カパコ「うん。とってもいい気持ち。もう100パーセント満足。」
河童「(うんうん)」
カパコ「でも、カパコ、120パーセントはいらないの。100パーセントでいいの。」
河童「これからどうする?」
カパコ「今晩のこと?それともこれから先のこと?」
河童「(ちょっとカパコ酔ってるのかなぁ)今日このあとどこいこうか。」
カパコ「そうね。ちょっと横になりたい。」
河童「ミートゥー。」
カパコ「丸の内まできたんだから、山手線外回りに乗って居眠りして、二人とも目が覚めた駅で降りましょ。」
河童「いい考えだね。きっと僕ら同じ駅で目が覚めると思うよ。」
カパコ「カパコもそう思う。」
河童「じゃぁ、乗ろうか。」
カパコ「うん。(私たちこのあともきっとうまくいくわ。カタストロフィさえなければ。)」