769- ロバート・ショウ nyp 1984.4.24
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メータが音楽監督を務めるニューヨーク・フィルハーモニックは、1983-1984シーズン最後の6週間は大変だった。
メータがひじを痛めてタクトをとれなくなったので代振りの連続。
詳細は1983-1984シーズン聴いた演奏会、観たオペラに書いてます。
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1984年4月24日(火)8:00pm
エイヴリー・フィッシャー・ホール
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ブラームス/ジャーマン・レクイエム
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ソプラノ、マーヴィス・マーティン
バリトン、トーマス・アレン
ウェストミンスター合唱団
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ロバート・ショウ指揮
ニューヨーク・フィルハーモニック
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メータの代わりに今日はロバート・ショウの指揮。
ショウというとすぐに思い出すのは合唱のことである。ショウはなんというかアメリカの指揮者に似合わないというか、それとも年のせいかよくわからないがとにかく非常に真摯で謙虚な指揮だと思った。
オーケストラに対してよりも合唱の方に指示が多く、そして合唱自体も渋いブラームスが時にうねるように咆哮する。
ブラームスのドイツ・レクイエムを生演奏で聴くことはめったにないが、さすがブラームスとでも言おうか、本当に暗くて渋い曲であるとつくづく思う。一体この曲にメロディーらしいメロディーがいくつあるのだろうか。チャイコフスキーなどと比べたら、というよりも比べる気さえもおこらない。
しかし、ブラームスである。その、時としてあらわれるメロディーがなんと印象的であることか。そしてマンハッタン・サウンドの象徴とでもいうべきニューヨーク・フィルハーモニックの輝きのあるオーケストラからなんと奥深い力強い音が現れてきたことか。
ショウはオーケストラを前面に出すことはせず合唱の迫力のあるサウンドでほとんど押し切った。これはこうっやってこの曲を実際に聴いてみて全く正しいやり方のように思える。
メータのキャンセルにより、またひとり指揮者を知った。ほんの一曲、彼の指揮で聴いただけだがその言わんとしているところはよくわかる。
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