気の遠くなるような10年のように感じた10日間がようやく最終日をむかえた。
締めくくりはこんな感じ。
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1984年6月8日(金)
エイヴリー・フィッシャー・ホール
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6:45PM
What’s Score?
Meet the Composers
楽譜ってなに?
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8:00PM
ANTHONY DAVIS/Still Waters
James Newton, flute
Abdul Wadud, cello
Anthony Newton, piano
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HARRISON BIRTWISTLE/
Down by the Greenwood Side’
(ニューヨーク初演)
Susan Belling, soprano
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PETER SCULTHORPE/Mangrove
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IRWIN BAZELON/Churchill Downs
Henry Estrin, saxophone
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LARRY NEWLAND, conductor
NEW YORK PHILHARMONIC
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最後の最後で、またわけがわからなくなってしまった。
とりあえず作曲家の名前だけでもカタカナで。
アンソニー・デイヴィス
ハリソン・バートビストゥル
ピーター・スカルソープ
アーヴィン・ベイゼロン
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ラリー・ニューランド指揮
ニューヨーク・フィルハーモニック
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ということで、作曲者の名前が、曲目のように見えてくる。
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聴く方の混乱状態も最高潮をむかえた。
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HORIZONS‘84 は、
ニューヨーク・フィルハーモニック主催によるもので、
1984年当時の現代音楽について、
新ロマン主義、という副題をつけて開催されたイヴェントでした。
20年以上前のイヴェントですが、今となってみればなんだかとても新鮮。
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その後、
活躍が継続しているもの、
消滅したもの、
ゆく川の流れは絶えずあるものの、
決してもとの流れではない。
先に進むしかないのが音楽。
現われては消える陽炎のようなもの。
瞬間芸術であるがゆえ、
それを刻印するのは脳裏、
でも、
それでは、かたておち、
脳裏に刻み、文章に刻む。
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これら現代音楽作曲者たちは、
その瞬間を十分な充実感をもって、
作曲し、
演奏し、
表現した。
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前半が現代音楽。
後半が古典音楽。
というのも演奏会としては納得できるプログラム・ビルディングであるが、現代音楽で固める勇気も必要だ。
同時代の共同体の実感を得るために。
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そういえば、普通の定期でこんなのありました。
勇気のいるプログラムです。
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1986年10月
べリオ作曲
ヴィオラと管弦楽のための
Voci(folk songs Ⅱ)
(ニューヨーク初演)
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ハイドン作曲交響曲第80番
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べリオ作曲2台のピアノのための協奏曲
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アルド・ベニッチ、チェロ
カティア・マリエッラ・ラベック姉妹ピアノ・デュオ
ルチアーノ・べリオ指揮
ニューヨーク・フィルハーモニック
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ラベック姉妹が左右で全身エクスタシー状態で体を震えさせながらピアノを弾いている最中、何人の聴衆が席を立ち、
背をむき、
通路をわざとらしく音を立てながら、
帰って行ったことか。
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曲目の並びが、
ハイドン
↓
べリオ
↓
ハイドン
であれば、聴衆も最後まで我慢できたかもしれない。
おわり
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