河童メソッド。極度の美化は滅亡をまねく。心にばい菌を。

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OCNから2014/12引越。タイトルや本文が途中で切れているものがあります。

1336- ワレンシュタイン、シンフォニエッタ、ドヴォ6、ラドミル・エリシュカ&N響2012.1.14

2012-01-16 00:10:00 | インポート

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2011-2012シーズン聴いたコンサート観たオペラはこちら。
2011-2012シーズン
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2012年1月14日(月)3:00pm
NHKホール
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スメタナ 交響詩「ワレンシュタインの陣営」
ヤナーチェク シンフォニエッタ
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ドヴォルザーク 交響曲第6番
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ラドミル・エリシュカ 指揮
NHK交響楽団
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初めて観聴きする指揮者です。
ホールの方はじわじわとお客が入り席にだんだんと浸透していくような感じでした。熱狂とはまたちがう、安心してその国の音楽に身を任せられるようなそのような指揮者がまたNHKホールに現れてくれたといったところかもしれません。
最初のスメタナはたぶんCDでも聴いたことがないお初です。解説通りの4つのパートからなりますが、なんというか穴だらけというと言いすぎですが、隙間が多く、でこぼこしていてこの指揮者が振ったからこそ持ちこたえたと思います。
初めて聴く曲というのは耳を凝らしていいところを探し当て、起伏を感じながら発見を繰り返しながら楽しいことではあります。いろいろと魅力的なところはあるもののやっぱりちょっときびしい。隙間が多い曲でした。
エリシュカはこの曲に精通していて愛着があるからこの日のように全く弛緩しない棒でオーケストラを振れたと思います。N響をドライブするのとはちょっと違いますが、N響にローカル色豊かな音楽を移植してくれた瞬間だったと思います。なんだか、ベルリオーズのギクシャクしたブラスの響きが魅力的であったりする、そんなことがちょっと浮かんできました。
2曲目のシンフォニエッタは13個のブラスがバンダ風にオーケストラのバックに横一列に並んで吹奏。一番高い台の上です。台と言えば、この日の配置は置くに行くほど3段ぐらいに台があがっていて効果的な響きを生んでいたと思います。
バンダが一番後ろですので、前方の弦がかき消されることがなく、非常に雄弁で魅力的なサウンドを満喫できました。曲自体はとらえどころがありませんけど、ときおりマルティヌー風な響き、もっと言うとミニマル風な流れの寸前といったところがあり、そのようなことは今回初めて感じました。これもローカル色あふれる音楽で指揮者の共感なしには語れない。
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後半はドヴォルザークの6番。こうなると、祖国が全てでありそれ以外はあまり考えられない。おそらくこの指揮者は自国で自国の音楽を振りつくしてきていて、それについては絶対的な自信があるのだろうと感じられた。また、音楽の作り出すアクセント、ローカルなアクセントなども音楽に多く盛り込まれているのかもしれない。
しかし、この曲も、きびしい。
ソナタ形式と考えるのは誤りではないと思うが、そんなことよりドヴォルザーク特有のメロディーや舞曲風な流れに身を任せた方がいい。それでもやはり曲自体の響きが薄いようなところがあり、スメタナの一曲目同様、隙間が多すぎる。話がそれるがロヴィツキ&ロンドン交響楽団の全集では、第7番の直前の曲といったそれなりにりっぱなおもむきがあったのだが、この日の演奏は悪くはないが、慣れないオーケストラがそのありあまるスキルだけで音響を積み重ねただけの結果、のような演奏だったと思う。
高性能スキル集団によるスキルの集積、それだけで音響は築かれ、指揮者が事前にこまかい節回しを練習で指示すれば四角四面かもしれないがそれなりに音楽はできる。しかし、プレイヤーの体が動いていない。慣れない曲で歌のツボがわからなかったのかもしれない。N響は慣れた曲でもこんな感じのときがある。棒にドライブされていない。何故かは知らないが、流れてはいるが氷のような冷たい血。この日のようなプログラムにはどのように身をふるまえばいいのかを知っているのかもしれない。音楽の共感を引き出すのはやはりこれも指揮者の仕事だ。相手がN響であっても。
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エリシュカは最近日本でブレークしたのだろうか。自分にとって少なくとも4半世紀以上前から知っている指揮者ではないし、80才前後の指揮者を聴くとは我ながら驚き。
昨年、マーツアルが読響の定期をキャンセルし代わりにヴロンスキーが振った。チェコの自国内でこれまで活躍してきた指揮者なのだろう。エリシュカ、マーツアル、ヴロンスキーの世代の流れはあるが、マーツァルは外での活躍が長い人だったしレパートリーも幅広い。ヴロンスキーは動きが自意識過剰で目障りなところがある割には鈍重なマーラー5番だったし、エリシュカはこの人たちとだいぶ異なる。とはいえ音楽の原点は自国の作曲家のものであるのは間違いのないところ。尽くすタイプの指揮者であるのだろうと思った。
おわり

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2 コメント

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河童さま、とっくに松の内は過ぎておりますが、明... (naniwanonagori)
2012-01-16 07:38:27
河童さま、とっくに松の内は過ぎておりますが、明けましておめでとうございます。ご無沙汰しております。楽しく読ませていただいています。

「氷のように冷たい血」、まことにうまい表現で感服いたしました。あの高性能国営放響、あれを時々やられるのが苦手です。

なんか我が国の高性能官僚の「形だけ付けておけばいいのだろう」的な立ち居振る舞いを連想してさらに腹立たしくなったり…

いやだんだん筋違いになってきました。ご海容下さい。今年一年、ご自愛を。
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naniwanonagoriさま (河童メソッド)
2012-01-16 21:43:03
naniwanonagoriさま

コメントありがとうございます。いつも見ていていただきましてありがとうございます。
今年もよろしくお願いします。
当公演あいもかわらず、「空前絶後の名演奏」的な文が飛び交ってました。世の中まいど超絶的な名演奏だらけのようです。

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