ちょっとおそくなりましたが、昨年12月の演奏会から一つ。
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2007年12月15日(土)6:00pm
サントリーホール
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マルトゥッチ/ピアノ協奏曲第2番
ピアノ、ゲルハルト・オピッツ
エルガー/交響曲第2番
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尾高忠明
読売日本響
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エルガーの2番は1番と曲の雰囲気がよく似ている。
パルジファルのフレーズがそれとなく出てくる1番の冒頭の音節が全面に広がっていく曲想の違いこそあれ、2番のたとえば第2楽章の音楽の流れは、いつの間にか第1番4楽章フィナーレにシフトしても一瞬気がつかないのではないか。
エルガーの曲は、いわゆるブラバン用の曲を聴いているつもりで聴くと非常に楽に、構えずに聴くことができるし、分かり易くもある。
第1,3楽章の迫力は普通ではないし弦を除いた楽器群の彷徨が素晴らしい。第4楽章冒頭のメロディーは、はじめて聴く人にとってもなんとなくなじみのあるものだ。
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尾高は今ではイギリス音楽のエキスパートと言われるだけにエルガーも大得意である。
90年代初めに盛んにエルガーを振っていた時期があり、よく聴きにいったものだが、その後もコンスタントに振っていると思う。
さすがに振り慣れているというか、曲の裏まで知り尽くしている有様がありありとその棒、振る姿からとってみることができる。尾高の場合、顔つきが、ややもすると、自分が一番感動している、といった様相を呈するケースが多く、指揮者なのだからもう少し突き放して棒を振って、などと悪態をつきたくなったりするが、もう、癖なんだろうね。でも、音楽自体は確実に大人になった。常に全体を見据え、見通しがよく、細部に対し確信をもった解釈で進むので、そこはそう響くのだ、という彼の意識をそのまま受け入れれば、音楽の構造の隅々まで案内させてもらえる。本当にイギリス音楽が好きなんだろう。
そういえば、昔々、彼の棒でこんなのを聴いたことがあったっけ。
1978年5月20日(土)2:00pm
NHKホール
シェーンベルク/浄められた夜
ウォルトン/ヴィオラ協奏曲
ヴィオラ、ブルーノ・ジュランナ
パヌフニク/祭典交響曲
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尾高忠明 指揮 NHK交響楽団
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あれから30年たったわけであるが、一曲じゃなんともいえないけれど、やっぱり、昔からイギリスものが好きだったんだ。たぶん。
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前半のマルトゥッチのピアノ協奏曲だが、シューマンの雰囲気があるなどとプログラムには書かれているが、どう聴いてもショパンのピアノ協奏曲第1番の雰囲気だなぁ。曲の進行がそっくりだし。
スクリャービンのピアノ協奏曲にも似ている。スクリャービン自体がショパンの真似みたいなものだから、なんだかあすこらへんの時代を掘り起こしたような曲だ。
重さ、厚さはブラームスだがフレーズにブラームスの面影はあまりない。
結局、ショパンとブラームスを、ショパン多めで足して2で割って正数で答えを出したような感じ。
曲に、ひらめき、が一瞬でも感じられればいいのだがそのような箇所がなく、埋もれるべくして埋もれた?
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