2016年11月25日(金) 7:00pm 東京芸術劇場
メンデルスゾーン ヴァイオリン協奏曲ホ短調 15+8+6′
ヴァイオリン、ジョシュア・ベル
Int
マーラー 交響曲第5番嬰ハ短調 13′15′18′11+14′
ダニエル・ハーディング 指揮 パリ管弦楽団
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昨晩に続き、今日も同じ組み合わせで。
昨晩はプログラムと企画がいいとは言えず残念な結果でしたが、この日はコンチェルトもシンフォニーも、らしさが出てきました。
前半のベルのメンコンは活力があり、山のように聴いている曲なれど味わいながら聴くことが出来ました。ただ、もう、この曲は勘弁。別のにして。
マーラーはだんだんと活力が盛り上がっていきました。
真っ暗な第1楽章、特に第2主題をダークスローでやられると鬱度が増すが、ハーディングはたぶんそれ狙いではなくて、精緻さと言いますか、繊細さと精度に、より光をあてる、この傾向は既に彼が持っている特質でしょうから、そういう指示がこの1楽章から反映されてあのような具合の右下がりのような演奏字体になっているのだと思います。この楽章の〆のピチカートなんか慎ましやかで、繊細さが勝つハーディングの肌触りが如実にでました。まぁ、うまくいっているところそうでないところ、これは新日フィルを振っていた時でもそうでしたね。作品の波長より自身のスタイルを、より前面に出す。それがうまくはまるかどうかは別。
この曲は1,2楽章と後半3,4,5楽章切り替えが難しい。ギアチェンジ。後半三つの楽章はハーディングにフィットしています。第3楽章の奇妙なワルツのディテールへの照射。4楽章の中庸よりちょいオソのニュアンスに富んだ美演。終楽章の少しずつエスカレートしていく、作品のうまいまとめ。全5楽章の統一感は今一歩。これからでしょうね。
パリ管の弦は締まり、しなる。ブラスはほどほどに抑制。濃いビブラートとかはありませんね。時代が時代ですからという話か。スタープレイヤーが欲しいですね。
前日は1000円のツアー・プログラムを買わないと、何をやるのか、何がどう変更になったかさえわからなかったわけですが、今日は改善されていて、一枚ものを配っていました。
パリ管もご多分に漏れず、指揮者への派手なストンプ。し過ぎです。自分たちの音楽監督を自分たちでほめて客になにを訴えようというのかしら。10月中盤からこの日まで来日オケオペラ17公演聴きましたが、ここまで派手なのはこの日のパリ管だけでした。
おわり