2018年10月19日(金) 7:00pm サントリー
ブルーノ・マントヴァーニ 2つのヴィオラと管弦楽のための協奏曲(2009)
日本初演 5-4-3-5-4 -23(-4)
ヴィオラ(しもて側)、タベア・ツィンマーマン
ヴィオラ(かみて側)、アントワン・タメスティ
(encore)
バルトーク 44の二重奏曲Sz98より No.28悲嘆(Sorrow) 3
Int
サン=サーンス 交響曲第3番ハ短調Op.78オルガン付 8-10、7-8
大野和士 指揮 東京都交響楽団
●
マントヴァーニの日本初演作品。約40分もの。途中でタベアさんの弦が切れて演奏ストップ。ご本人は退場して張りなおして、そこから再スタートというあまり見かけない風景もあった。
コンフリクトなコンセプトが作曲家の頭にあるようだ。音楽の表現としてそういった概念が形作られていっているのだろう。
いきなり二つのヴィオラソロから始まる。音がデカい。PA使用なのかなとまずは不思議な感触。ホルンを含んだウィンドが弱音で伸ばしていく中、ブラスとパーカスは炸裂音を断片的に繰り返す。そのような進行が下敷きとなって二つのヴィオラがプレイを重ねていく。オーケストラ自体が伴奏という雰囲気はあまり感じなくて自己表現力が強く、味わいも濃厚です。ヴィオラが主導してオーケストラが咆哮や流れを出していく。重なるよりも直列進行の趣き。色合いはヴィオラ音域レヴェルに有って、キンキンする音楽では無くて、思考があって音が出てくるような具合。いろんなことが延々と続いていく。
1部と2部の切れ目は無くて、おそらく21分、19分の計40分の大きい作品。2部では最初に書いたアクシデントがあったので実際のところ19分では無くて24,5分ほどの経過時間。
解説にもっと詳細な進行説明があるのでそれをたまにチラ見しながら聴いてみた。
咆哮と流れと変奏的な大きな繰り返しの束、現代の音楽の音響への興味としては聴衆に申し分ないものを与えてくれる。弛緩しない音楽は聴衆をひきつける。魅力的な作品でしたね。
途中のアクシデントでは客が水をうったかのように静かで、このアクシデント自体が、まるで、この作品の演出の一つでもあるかのような不思議な静かさ。お客のテンションの高さが手に取るようにわかったのではないか、大野さんやソリストはじめ全員がね。
まあ、あの中断、大野の棒でオケが一斉にストップ、その空恐ろしい揃い具合。驚異のピッタリ中断で、あれを客が聴けば客は必然的に静かになると思う。お見事なアクシデント対処プレイでした。日本初演ものということで、なんというか、あらためてビックリな技。マントヴァーニもびっくりだろう。
●
現代音楽ではめざましいパフォームとなるこのオーケストラ。
後半プロは硬い音がマイナス。鉄板に壁ドンのブラスセクションの中、ホルンの3番はいい活躍でした。ティンパニは相変わらずでなんとかならないものか。なんで棒打ちになってしまうのか。
おわり