河童メソッド。極度の美化は滅亡をまねく。心にばい菌を。

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OCNから2014/12引越。タイトルや本文が途中で切れているものがあります。

2674- リーム、Ins Offene...、ブルックナー7番、ツァグロゼク、読響、2019.2.22

2019-02-22 23:45:01 | コンサート

2019年2月22日(金) 7:00-9:10pm サントリー

ヴォルフガンク・リーム Ins Offene… (第2稿 日本初演)  29

Int

ブルックナー 交響曲第7番ホ長調WAB107 (ノヴァーク版) 21-24-9-12


ローター・ツァグロゼク 指揮 読売日本交響楽団


リームの大規模オーケストラ曲、第2稿が日本初演なのか、作品自体が日本初演なのか、やや不明瞭な視界が漂うが、もともと知らない曲だし、まあ、聴くほうも体当たりで。
Ins Offene… このタイトルの最後の・・・も作品名のうち。
この語句の感覚がわかりませんが、解説にある通り「開いた...の中へ」と。

出てくる音は点と線。線は同じ帯域にとどまる。つまり出た高さのまま消えていく。フシは無い。それと、点の強弱のインパクト。
一体全体、拍子を取る音楽なのかといわゆる現代音楽最盛期の頃に戻ったような感覚を少し味わう。そして、光が破裂する様な筋模様はモーツァルトのフリーメイソンの冒頭の響きが最初から最後までよぎり続けた。
オーケストラは39人3群。1群はサントリーLB上方とRB上方、それに2階センターの通路に、それとP席右と左、計5か所に散らばっている。5か所の散らばりが一つの群という定義のようですね。
2群はステージ上かみて、3群は同じくしもて。これは分かりやすい。
1群は客席を囲むように散らばるので一つずつの音は極めて薄くなる。このイメージもたないといけませんね。
音楽的ドラマよりも音色変化、音響空間のデザインといったあたりのことに注力されているリームの作品、ということのよう。聴くほうは響きの世界を多角的にとらえないといけないのだろうが、最初に書いたように聴こえてくるフィーリングはひたすらフリーメイソンだった。
最初のピアニシモの出のあとすぐに、何十秒にもわたる空白。あれはツァグロゼクが頭の中でカウントしているように見えたのだが、あの静寂カウントのあとからが本編なのだろう。静寂カウントの前のピアニシモ開始も含めて、静かに始めるための儀式のようなものだったのかもしれない。
点と線。破裂する点。線は一度出た音はその音高のまま消えていく。最初に書いた通り。
フリーメイソンの様に圧縮された音、空気の圧縮、凝縮された世界。はて、何がopenなのだろうか。響きの世界に身をゆだねているうちにピアニシモエンド。さて、最初のppは全体モットーだったのかと。いやいや、静寂カウントからの開始をしたかったのだ。静寂開始だとどこから始まるのかわからないので、pp開始でマークを付けたんだろう。等々、色々と妄想が広がる。
開かれた世界に押し込まれていく音の世界はほぼ短調モードの様相を呈し、光が一点から散らばるような閃光が見えるようだ。凝縮した響きはフリーメイソンの音以外ない。
30分におよぼうかという作品。ツァグロゼクの緊張力。構成感。極端なpp開始、すぐにするりと静寂カウント。場を鎮める力が凄い。やっぱり、彼が若い時代のいわゆる現代音楽、それに共感するときと同じような今日のリーム作品の様に見える。だからか、もの凄い説得力。
響きの世界をブルックナーの構成力の世界に結び付けていくには、何もしないことが正解なのかもしれない。何もしないのではなくて当たり前のことを当たり前にするという話しか。

AB7 elapsed time
Ⅰ 3-3-2 5 2-2-1 3
Ⅱ 5-3 6-2 3-3-2
Ⅲ 3-3-3
Ⅳ 1-2-2 1 1-1-3 1

端正の極みのフォーメーション。二つ目の主題やBをさらりとテンポを切り替え比較的快速、と、肌感触。でも実のところはそうでもなかった。素晴らしく均整の取れた全体像が浮き出てくる。ナチュラルな進行ですね。まるで、何もしていないかのような進行なのだが、リームの響きの世界から連続して聴こえてくるものは、りきんだソナタの構築よりもむしろストレートな響きのアヤをこのブルックナーサウンドに合わせて表現している。リームの残光が消えぬ間にブルックナーが静かに始まり繋がる。まことに見事なツァグロゼクの響きの構成力。逆説をつないでくれたようなブルックナーだった。見事な力学だった。

端正、淡々と進めていく音楽、主題がpp経過で次の主題に移る前、このppをもう一段pppに押し込んで、それから次のpp主題開始となる。この絶妙な音楽づくり。端々まで隅々まで響きに支配された音楽は極めて美しく光る。自然に背筋が伸びてくる。正しい姿勢に導くツァグロゼクの指揮。もはや、場の空気も静まり鮮やかに光る。ううむ、見事なブルックナーだ。荘厳な世界でしたね。
もうひとつの表現世界を垣間見ました。
ありがとうございました。
おわり


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