河童メソッド。極度の美化は滅亡をまねく。心にばい菌を。

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2211- 西村朗、野平一朗、個展、杉山洋一、都響、2016.10.28

2016-10-28 23:26:33 | コンサート

2016年10月28日(金) 7:00pm サントリー

野平一朗 管弦楽のための「時の歪み」 (世界初演)  15′

西村朗 液状管弦楽のための協奏曲  (世界初演)   20′

Int

野平一朗&西村朗 ピアノ協奏曲「クロッシングA・I」 (世界初演) 11′9′11′
 ピアノ、野平一朗
第1楽章 ソロパート:西村作、オケ伴パート:野平作  11′
第2楽章 ソロパートのみ(野平作6ピース、西村作6ピース) 9′
第3楽章 ソロパート:野平作、オケ伴パート:西村作  11′

杉山洋一 指揮 東京都交響楽団


野平さんと西村さんの個展、初演もの3個。
ざっくり言って、点と線。
野平さんの短い音符で咆哮するような攻撃的なスタイルに対して、西村さんの高密度で息の長い流線形型フレーズ進行。端的に言って、点の野平、線の西村。

1曲目の野平作品「時の歪み」点。
2曲目の西村作品「液状」線。
3曲目
第1楽章、線の西村ソロパート、野平の点によるオケ伴。
第2楽章、ソロピアノによる点の野平6ピースと線の西村6ピースをシャッフル演奏。
第3楽章、点の野平ソロパート、西村の線によるオケ伴。

つまり、1曲目と2曲目でそれぞれの作品を展示し、3曲目のピアノコンチェルトで、合体させる。合体パターンは3種類。2人が均等になるように。

ということだと思います。
野平自身がピアノを受け持っているので彼に若干勝ち目にあるような気もする。個人的には西村の高密度な音の鳴りが好みなので、まぁ、五分五分。


1曲目の野平「時の歪み」、ブラスを中心に短い音符で咆哮を繰り返す。プログラムノートに書いてあることとはかけ離れている印象がある。
「音の全てのパラメーターに歪みが適用され、~」とノートにある。パラメーターとは変数と思うので、この説明は少しややこしい。変数が適用される本体があるはず。音が本体ならパラメーターとは何のことをさしているのか。パラメーターではなく、素材もしくはエレメントと置き換えた方がいいような気がします。あるいは音の構成要素ということかもしれない。
歪みは、素材の「展開」の代わり、であるとも書いている。この場合の素材というのは節やフレーズの事として理解していいのか、別の意味なのかわからない。等々、
色々書かれていますが全文にわたり理解できないところが多い文章。出てきた音とこのノートとは結び付かなく感じた音楽でした。時の歪みの正確な定義がまず必要と感じます。
また、この作品だけ、外国向けタイトルがフランス語なのはどうしてなのか。ご自身の身近な外国語だからでしょうか。

2曲目の西村の液状。息の長いフレーズ、それが全楽器にわたりびっしりと音に隙間なく敷き詰められながら進行していく。こちらのノートの内容はイメージであり、水のようなもの(水質)とイメージを書いていながら、実際に出てくる響きは、水滴であったり、もっとねっとりした液体であったり、まぁ、そこに色々と書いてある通りの液状のような具合なので、ストンと結びつく。この場合、ファジーと言っては何だが、そのような説明の方がよく理解できることもあるわけだ。

3曲目のクロッシングは、両端が合体。真ん中がシャッフル。均等にしたのだろう。この場合の共作とはそういう意味合いのものだったのでしょう。機会均等と言い換えてもいい。
点と線の区分けでいくと最初に書いた通り、全く分かりやすい音楽。
サブタイトルのクロッシング、それにお二方のイニシャルを取ったA・I。わかりやすいもの。作品の印象は、ごった煮。
点と線が音楽的シナジー効果をもたらせば言うことはない。実際のところはそれぞれの魅力が相殺されていたような気がする。点が線を打ち消し、線が点を打ち消してしまった。
共作で閃き系の作品を作るのは困難と思います。用意周到になればなるほど音楽のもつ自由さや躍動するものがなくなってしまうような気がしますね。それをはねのけるほどのものではなかった。


解像度の高い都響の演奏はこの種の演奏会にはもってこいですね。中身のよくわかる演奏でした。指揮の杉山さんは熱のこもったもので、音がうまく開放されていたと思います。
おわり




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