ウェルシュ・ナショナル・オペラ 初来日1 1990-19
1990年のコンサート、オペラも、残すところ11月、12月。
この11月の時節、UK90英国祭というものがあり、その一環としてウェルシュ・ナショナル・オペラの初来日公演があった。
上演演目は2本、それぞれ3回公演であった。
1990年
11月8日(木) サロメ
11月9日(金)ファルスタッフ
11月11日(日)ファルスタッフ
11月12日(月)サロメ
11月13日(火)ファルスタッフ
11月14日(水)サロメ
オーチャード・ホール
リチャード・アームストロング 指揮 ウェルシュ・ナショナル・オペラ
11月11日と12日の公演を観たが内容は次回。
当時はウェルシュ・ナショナル・オペラと言っていたようだが、ウェールズ・ナショナル・オペラ、と表記する場合もあるようだ。(いずれにしてもWNOだ。)
WNOは1990年が初来日だが、その後来日しているのかどうかよくわからない。
このときのプログラムはA4よりひとまわり大きいもので96ページ。かなりのボリュームだ。
英国祭UK90ということもあってか、今となってはむなしいウェールズ皇太子妃ダイアナが冒頭の挨拶文を書いている。
また、英国首相鉄のマーガレット・サッチャー、日本の内閣総理大臣水玉の海部俊樹も挨拶を述べている。
渋谷の東急本店の裏にくっついている文化村オーチャード・ホールは1989年に出来ており、約1年たったことになる。
WNOは1946年に結成。
4月15日初公演。
指揮ヴィクター・フレミング
カヴァレリア・ルスティカーナ
パリアッチ
以上2本立てで行われたようです。
これに続く公演が、ファウスト、ということですから音楽的には当初から充実していたようです。このような場合、1946年結成、などといっても十分前から下地があるわけで急にポッと出来たわけではないと思われる。
例えば、メトロポリタン・オペラMETは1883年ファウスト(!)で幕を開けましたが、そもそもこのMETというのは1854年に開設されたアカデミー・オブ・ミュージックの桟敷席に座らせてもらえない新興金持ち集団が反目して作ったものでした。
理由はどうあれ、オペラは下地、それなりの歴史があってはじめてグループなりアソシエーションなりが出来てくるものなのです。
日本の場合は概ね、昔から、来日団体による上演(だけ)がメインであり、オペラの歴史はない。来日公演の歴史しかない。
歴史的にはごく最近になって初台に新国立劇場なるものが出来たわけだが、これとて専属のオーケストラがあるわけでもなく在京のオケがころころと替わりながら伴奏を務めている。従って指揮者もピットに日ごろ同じ人間がはいることはない。
キャストもロール系は外国からの呼び寄せであり、メインイベンターをとりまく連中の腕は上がったとは言えるが、オペラの歴史を作る道しるべさえまだ暗中模索で探しあぐねているというのが実態だ。
そもそも胴長短足、頭でっかち、小肺、体力非弱、などなど、オペラという西洋エンタメ系には全く合わない姿かたちと体力を有しているのが日本人であり、無理やり作っても不自然な歴史しか出来ないのかもしれない。
ということで、WNOによる公演が2本行われたが、普段もっているイギリス風なイメージとはだいぶ異なり演出にウェイトをおいたドラマティックな上演であった。
つづく。