河童メソッド。極度の美化は滅亡をまねく。心にばい菌を。

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2299- シベリウスVn協、サラ・チャン、前奏曲、マゼッパ、アッシャー・フィッシュ、2017.3.25

2017-03-25 22:58:02 | コンサート

2017年3月25日(土) 2:00pm オーチャードホール

ベートーヴェン プロメテウスの創造物、序曲  5′

シベリウス ヴァイオリン協奏曲ニ短調  15′7+7′
 ヴァイオリン、サラ・チャン

Int

リスト 前奏曲  15′

リスト マゼッパ  16′

アッシャー・フィッシュ 指揮 新日本フィルハーモニー交響楽団


素晴らしくエキサイティングなシベリウスでした。
サラのヴァイオリンは強靭、打ち震えるような響きはヴァイオリンのデフォのサウンドを実感させる。滑るようなテンポは圧巻、特に終楽章はソリスト、指揮者ともに限りを尽くしスパークするような演奏。

第1楽章の冒頭、静寂から奏でられるヴァイオリンにはゾクゾクした。フィッシュの伴奏が素晴らしい呼吸、間の取り方を長めにして緊張感をさらに高める。双方最初からドラマチックな展開。音楽の振幅が大きい。シンフォニックな楽章を思う存分極めつくした。
サラは強いボウイングで音符の切込みが深い。
静寂の緩徐楽章、サラの表情は瞑想から濃い哲学的なやや気難しい顔まで色々と変化する。コンセントレーションがかなり効いていてかつテンションが高い弾きでこちらも自然にのめり込んでいく。ここも濃いプレイでしたね。
終楽章のスピード感は圧倒的、指揮者共々、前に前にどんどん進んでいく。滑るような演奏。限界テンポで飛ばすヴァイオリンと包み込む棒、オケ伴のみとなるところでは第1ヴァイオリンのパッセージを一緒に、それが左手の指のみ一緒に動かすのだが、右手のボウイングはしておらず、身体が揺れる、アクションがド迫力。神プレイ。

そして特筆すべきはオーケストラのまろやかさ。雲の絨毯の様なやわらかいサウンドが心地よい。要所をしめるブラスのアタックがポイントを突いていて並々ならぬメリハリ感。雄弁な伴奏、指揮者によるところが大きいと見ました。指揮者しだい。
そもそも、今秋来日するバイエルン国立歌劇場をペトレンコKとともに振るアッシャー・フィッシュ。リング上演の実力もあるお方がNJP一発公演に参上し、これまた日本しばらくご無沙汰のビッグヴァイオリニストのサラ・チャン、なんでここで一発公演が実現したのか、本当にわかりません。聴く方は僥倖という言葉しか見つからない。演奏の内容は書いた通りで、充実のソロ、オーケストラであって久しく聴かれなかった鬼気迫る秀逸な演奏となりました。

後半のリスト2曲。
前奏曲の間の取り方が絶妙、ドラマチックなものですね。第2主題の滑らかなうねりの嵐。この対比。心的な面を突いた標題音楽。内面をえぐるようなシリアルな運びはエモーショナルで揺さぶられる演奏でした。前奏曲はノセダN響、ティーレマンドレスデンなど、忘れがたい演奏が少なからずあります。今日の演奏も同じ列に加わる内容で、お見事。

マゼッパは変わって絵巻物の様な標題音楽、この種の音楽としてはこちらのほうがノーマルなものだろう。あおるような音楽は派手ですが、煮え切らないやにっこさみたいなものもありますね。かみしめるような進行と前進前進のダイナミックさが綯い交ぜになったもので、最後まで楽しめました。オーケストラを聴く醍醐味。

これらリスト2曲。オーケストラの響きの充実度。指揮者が引き出したものであることは間違いない。新たに音楽監督となった上岡さんの日常の手綱も通奏低音的にあるのかもしれない。指揮者の意思が上岡さんとシンクロするような方であれば、直感的にいい演奏を実現できるオケなのだろうと、感心しました。
シベリウスもリストも中音域が充実した響きで、柔らかく押し出すような動き、それとアタックですね。素晴らしい。

マゼッパの最後ひとつ前の音でフィッシュの棒が飛び、その棒のほうを振り向きつつフィニッシュ、聴衆が指揮者に棒を返しにいってめでたく終演。
前半後半、充実の内容、ありがとうございました。
おわり


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