河童メソッド。極度の美化は滅亡をまねく。心にばい菌を。

PC版に一覧等リンクあり。
OCNから2014/12引越。タイトルや本文が途中で切れているものがあります。

2503- 細川俊夫/サシャ・ヴァルツ、松風、コールマン、東響、2018.2.18、アゲイン

2018-02-18 18:50:42 | オペラ

2018年2月18日(日) 3:00-4:40pm オペラパレス、新国立劇場、初台

新国立劇場プレゼンツ
細川俊夫/サシャ・ヴァルツ  作
サシャ・ヴァルツ プロダクション
松風   (日本初演)  10-15-19-25-5-5

キャスト(in order of appearance and also voices’ appearance )
1. ダンス(黙役)
2. 旅の僧(ワキ)、グリゴリー・シュカルパ(Bs)
3. 合唱
3.須磨の浦人(アイ)、萩原潤(Br)
4. 松村(シテ)、イルゼ・エーレンス(S)
4.村雨(ツレ)、シャルロッテ・ヘッレカント(Ms)

ダンス、サシャ・ヴァルツ&ゲスツ(14人)
合唱、新国立劇場合唱団ヴォーカル・アンサンブル
7人(女声4SSAA、男声3TTBs)+須磨の浦人(Br)
指揮、デイヴィッド・ロバート・コールマン
管弦楽、東京交響楽団(1管編成クラのみ2、8-6-4-4-2型)

(duration) 79′
ダンス 10
海   15
潮   19
夜   25
舞   5
曙   5

日本初演3日連続公演の千秋楽。
前日の中日公演の感想はこちら。
2502- 細川俊夫/サシャ・ヴァルツ、松風、コールマン、東響、2018.2.17 

弦がチリチリと持続音を奏で場面転換へ向かう。コールマンが見ているスコアには縦線がないのだろうか、左の掌を泳ぐように上に向けたり下に向けたりしている。独特な響きの世界が醸し出される中、松風村雨の姉妹は松葉風の紗幕のあっち側の上から降りてくる。歌とともにヒラリとではなくあちこちの松葉に引っかかりながら上向きになったり下向きになったり亡霊も大変だ。上から降りるこの不安定さは彼女たちの心象風景でありそれに、観ているほうへ気持ちの揺らぎを伝播させる、見事なシーン潮への場面転換と展開。
シーン舞、狂乱ダンス。4つの格子仕切り部屋は反射しない鏡部屋なのだろうか。行平、シテ、ツレ、沢山出てくる。涙目で見る車のライトのようだ。針葉が上から落ちてくる。思い出すのは雨を線で表した日本の芸術表現。姉妹が上から降りてきたように針葉が涙雨の線となって降り注ぐ。まことに秀逸な瞬間。クライマックスは派手な動きがあっという間に終わる極めて効果的なものであり、旅の僧は目を醒ますのはこの世に戻ることであって、舞の後の曙もさっと終わる。海潮と静謐な持続する世界だったのを、一気に凝縮したような舞曙、時間を解きほぐせばシーン夜を力点にしていよいよバランスしてくるように見える。内面が照らし出されたお見事な起承転結であった。

細川の音楽はこのような内面の動きをよく表現している。姉妹の歌、それぞれのソロ、重唱ハーモニー、歌い尽くせるようなオーケストレーション、歌い手と同じように雄弁になることもある。美しきものといえる瞬間はあったのだろうか。あったとすれば、音によって洗われたこちらのハートなのかもしれない。
それから、鳴り物のさばきは日本の伝統芸能のクライマックスの動き、時間を縮めることによる盛り上がりの瞬間を垣間見るようで、実に興味深く感じた。ふうーと声にならないものを得た気分。


クレジットでは90分ロングの松風、昨日今日と観て実のところは80分に満たない。長さで言うとCav/PagのPagと同じぐらい。松風に合わせて上演できるものがあればいいのかなと思ったりもしたが、同じ日にもうひとつ、という気分にはなかなかさせてくれるようなものではないな。
2回観まして色々とためになりました。ありがとうございました。
おわり


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