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また新種のCDがでた。
SHM-CDというものらしい。
クラシックはイエローレーベルDGから数十タイトル出ているが、全部昔の録音で新録音はないため、EXTONのSACDのような路線のものではなく、いわゆる昔の録音テープの音を高性能CDにスタンプしたということになる。
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SHM-CDはスーパー・ハイ・マテリアル・CDの略。
高音質。
液晶パネル用ポリカーボネート樹脂を使用したCD。
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結局
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イエローレーベルを含むユニバーサル・ミュージックは、日本ビクターの新素材技術を採用してSHM-CDを発売。
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これってかなり情けない。
BMGからは既にXRCD24がでている。
今回なぜビクター採用なのか知らないが、奥深い業界のなせる業か。
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ということで、カラヤンのブルックナー全集\18,000をやり過ごし、クーベリックのドヴォルザークを買ってみた。
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ドヴォルザーク
交響曲第8番 1966年6月録音
交響曲第9番 1972年6月録音
ラファエル・クーベリック指揮ベルリン・フィル
DG UCCG9710 \2,800
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SACDプレイヤーで聴く意味はないが、もはやSACDプレイヤーしかもっていないのでそれで聴く。
音だけでいうと、1966年と1972年でこれだけの差があるのかということ。
1966年の8番も別に悪いわけではないが、1972年の9番との差がますますひろがった。
8番だけの収録であったならばこんな感想にはならなかったと思う。生々しい音、特に低音に力強さがあり、当時のベルリン・フィルの黒光りするサウンドが魅力的。音が引き締まったかというとそれはそうでもないと思う。音に芯があるがやはりどちらかというと拡散系の音場作り。
オリジナルテープから作り直しているか、どこにも書いていない。
OIBPのことは書いてあるので16bitに落とす前のオリジナルのデジタル・メディアからの作業なんだろう。
ということは、マスターのオリジナル・テープからデジタル・ソースを作成するときは、DGのOIBP技術を使い、それを日本ビクター開発の新素材に付着させた。ということだろう。
だから、ユニバーサル・ミュージックといっても、結局はイエローレーベルのソースしか発売できてないわけだ。
マスター・テープから起こせばさらに余裕の音場が再生されていたことだろう。
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9番は録音当時の音が8番よりも明確に良い分、さらに音が良い。
こちらは引き締まっており、音場が明確であり中心をもって広がる。余裕の音場。
空気感、空中を漂う空気の振動が見えるようであり素晴らしい。そのかわりお化粧とかテープの切れ目もよくわかるようになった。良い音を聴くには悪いものも一緒と覚悟しなければならない。空気感の切れ目がわかる。
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SHM-CDをXRCD24と比べるとやっぱりXRCD24に軍配をあげる。
XRCD24は収録時間が異常に短いが、今はそのようなことはあまり比較基準にならないものだ。だって旧録音は今まで山のように聴いてきているので、1枚にそんなに収録しても邪魔になるだけ、といったケースもあるし。
SHM-CDは普通のCDと同じスタンスなんだろう。収録時間も交響曲を2曲いれているからかなり長いものとなる。今、もう、長ければいい、という時代は終わりつつある。
ドヴォルザークの9番で1枚、ブルックナーの8番でも1枚。それでいい。
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SHM-CDをSACDと比べてはいけません。
例えばEXTONのソースはほとんと新録音であり音の通る機械の性能が時代とともにハイなものになりすべてのコンディションが上なのであり、その前提で作成されたスーパー・オーディオ・CD。
比べるものではない。EXTONのマーカルの一連のドヴォルザーク、直近だとマーラーの9番。遠近感が素晴らしく、彫のあるサウンドはいまのところなにものにも代え難い。
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ということで、この前は塔レコで思わずカラヤンのブルックナー全集に手がいってしまったが、もう少しだけ様子見としよう。
おわり
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