河童メソッド。極度の美化は滅亡をまねく。心にばい菌を。

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2563- アメリカ序曲、不安の時代、河村尚子、ショスタコーヴィッチ5、イラン・ヴォルコフ、読響、2018.5.30

2018-05-30 23:45:02 | コンサート

2018年5月30日(水) 7:00pm サントリー

プロコフィエフ アメリカ序曲変ロ長調op.42a  7

バーンスタイン 交響曲第2番 不安の時代  16-18
 ピアノ、河村尚子

Int

ショスタコーヴィッチ 交響曲第5番ニ短調Op.47  16-5-14+11

イラン・ヴォルコフ 指揮 読売日本交響楽団


3曲ともヴォルコフの棒が光る演奏会でした。また、不安の時代は河村さんのピアノが圧倒的、いい演奏会でした。

1曲目のアメ序はプロコフィエフと思うことなくひねりのないストレートな作品だと思って聴ける作品。吹奏楽の版でもあれば手応えありそうですね。アメリカン・スパイスのプロコフィエフ、次のバーンスタインにつながっていく気配を感じる。

その、不安の時代、大ピアノコンツェルトといったおもむき。これはほとんどピアノ協奏曲ですね。録音ではよくわからないようなところが、大変にクリアに聴こえてくる。切迫感が有る作品で、彫りの深さも並々ならぬものが有りました。
1部の延々と続く変奏は自分には怒りの日にしか聴こえない。それも終始つまずくような音の塊で前進性は感ぜず、塞ぐような進行。バーンスタインのやにっこい音楽ここでも全開というところだろう。
オーケストラ、ピアノ、ともに同じような進行なんだが、ヘヴィー級の読響サウンドに対し、河村さんのピアノは表情が凄く豊かに変化する。鍵盤に身体ごと押し付けるような強く濃いプレイであったり、軽くサラリといなすようなタッチも魅せる。聴かせてくれますね。素敵です。
今日はP席に座ったので、蓋無し正面向きピアノのこのセッティング、P席全員鍵盤側でラッキー。
2部はジャジーなノリだったり困難極まりないカデンツァだったりと、どっちにしろそうとう難しそうな弾きで、左から右から、あちこち目の回るような弾きで、素人目にも大変そう。
そんななか、リズムを取るところは身体を動かしキレキレのピアノ、よくシンクロしていて気持ちがいい。重くならないのもいい。また、オケが消えソロとなるところはお見事な技、坂道を転がるようなノリ、息をのむようなスリリングな展開に圧倒されさらに、困難なパッセージも天衣無縫のように聴こえてくる不思議。スペシャルな自由度。この日もやっぱり実感再認識の、何度でも一目惚れ。
1部は怒りの日にしか聴こえなかったが2部の締めはまるで、マメールロワのようなナイーヴなものでバーンスタインの別の顔を見るよう。河村さんの最後のワンショットまでお見事の限りの演奏を堪能。
こういったことを可能にしたヴォルコフの棒もまたスペシャル。現代ものに光るセンス、バーンスタインの音楽がふところ深く、大きく、パースペクティヴに富み、弛緩しないパワフル演奏はオーケストラともどもお見事。ブラスセクションの裸音のぶつかり合いアンサンブルや、響きを吟味して進むあたりやっぱり現音向きだなといたく思う。

ヴォルコフは10年前の2008年にトゥーランガリラを都響とやっている。あの時の冴え技は記憶の中にある。昨年2017年もサマフェスでコッテリと現代音を聴かせてくれた。今日のメインはバーンスタインだったと思う。ものの、後半にはショスタコーヴィチの5番。やりつくされた感があるけれども、彼のような指揮者が振ると、やっぱり、一味違うものになる。
読響はその特色通りヘヴィー級の大演奏、モタモタしないできっちりと縦ラインを合わせてくるから突進力は岩盤のよう。ヘヴィー級臨界点越えの演奏といえよう。
ヴォルコフのコントロールは効いている。第1楽章の弦楽合奏の束をしだれ柳風にグイグイいじったり、から、終楽章の最後2小節は驚天動地のパーカスサウンドを響かせる、等々、色々な味付けを聴けました。強調は結構多いですね。ブラスの線のぶつかり合いをむきだしに強調、すべりの良いブラスプレイはノリノリです。それからブレス、音が切れないパッセージに隙間は無い。呼吸小節コントロールもなにやら独特なのかもね。
現音風味のテイストは緻密なフレーヴァーでより鋭くなり、単色、ブレンド色、ともに見事な調理で、結果が出ていましたね。新鮮なショスタコに舌鼓。
ヴォルコフの棒は通り一遍のものではなくて、現音を歌う、歌うエレメントがあってそうとうに濃いもの、ナチュラルな指揮ぶりは音楽の流れを強く感じさせてくれるもので、プレイヤーたちは息を整えやすいだろうなあという気がする。ほれぼれする棒さばきですな。


収録マイクは目視では床には無くて、宙づり8本のみと思います。宙づりの中央二股マイク2本のうち1本はステージ真上、どんなサウンドメディアに仕上がるのかお楽しみですね。
おわり


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