河童メソッド。極度の美化は滅亡をまねく。心にばい菌を。

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1070- ヘスス・ロペス=コボス 完璧暗譜棒 三角帽子 東京フィル2010.9.17

2010-09-20 16:43:22 | インポート

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2010-2011シーズン聴いたコンサート観たオペラはこちら
この日のコンサートはこれ。
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2010年9月17日(金)7:00pm
サントリーホール
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トゥリーナ 交響詩「幻想舞曲集」
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ロドリーゴ ある紳士のための幻想曲
 ギター、荘村清志
(アンコール)
フランシスコ・タレルガ アルハンブラの思い出
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ファリャ バレエ音楽「三角帽子」
 ソプラノ、山本真由美
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ヘスス・ロペス=コボス 指揮
東京フィルハーモニー交響楽団
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ヘスス・ロペス=コボスはオペラ指揮者である。オペラ指揮者はコンサート・スタイルの演奏会などというものは基本的に朝飯前。何事につけ奥義というものはあるが、普通に振っている分には、まして日本初のリング・サイクルを敢行した棒ふりにとってはイージーなものだろう。だからといっていい加減に振っているということはないが、オペラの際限ないスコアと四方八方への目配りに比べたら比較的簡単なものだろうと思う。ときとして余技に見えるような指揮者もいるし、ビックオーケストラでディレクターに収まるような指揮者は一通りオペラの世界を終えたあとの人たちが多い。アシュケナージのようにオペラになんら意味を見出さず振らないと公言している指揮者もたまにはいるが、オペラを振っていると振っていないでは頭の中のアンプリチュードが違う。アシュケナージはそこらへん、ピアノで補っていたのかもしれない。ピアノから棒ふりになったバレンボイムとは究極の正反対だと思うのだが、行き着いた先が双方、棒だったのはそれはそれで面白い。
ということでヘスス・ロペス=コボスなんですが、こちらは職人肌というにはあまりに上をいきすぎている。まさか、三角帽子がハルサイ以上の複雑系の変拍子スコアとは言わないが、ハルサイをスコアなしで振れても、三角帽子を同じようにノースコアで振れるとは限らないのではないか。愛着と言ってもいいかもしれない。スパニッシュによるオール・スペイン・プログラムである。共感と愛着がなければ振れない。三角帽子のあまりに見事な棒は最初から最後まで唖然、敬服するしかない。
棒はハルサイとまではいかないがペトルーシュカ並みの技はいるかもしれない。空中分解的サウンドのペトルーシュカに比べ、爆な曲であるのだが、プログラムの解説通り曲想的な影響はたしかにペトルーシュカから大いに受けているし、棒のスタンスもそのようなもののような気がしてならない。ロシア人は変拍子を何の苦も無く振るという話を聞いたことがあるが、それはロシア物を振る場合のことだろう。ロペスはスペイン物を何の苦も無く振る。明確な縁どりの拍子、非常に的確な楽器指示、このような高度な技が身についていることにより音楽に余裕が生まれ、スコア以上の音楽のウエーブを作り上げていくことになるわけです。
楽譜以上の熱狂がこのトリッキーでシニカルなバレエを湧き立たせた。大変に素晴らしい演奏でした。
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前半2曲目の、ある紳士のための幻想曲ですけれど、PAありで、また前列6列目というサウンド目の当たりの席でしたけれど、後ろの席の傍若無人なじじい(と言いたくなる)のいびきの方がデカい。やはりギターの音はいかんともしがたいぐらいオーケストラ負けしてしまう。曲をいくらうまく作り上げてもオーケストラが唸りを上げるときギターは埋没。
非常にしなやかな部分もあり、きっちりとアクセントをつけた部分もあり。好感のもてる曲でギターも好演。ピッチの不安定な楽器なんでしょうが荘村さんの高度な技でカバーしている。ピッチと言えば、この日の東京フィルはやたらと音があっている。清らからで美しく響く。指揮者の耳だろう。ピッチが良く合っているとオーケストラの音場というものが何故か上に持ち上げられたように感じる。正三角形ではなくきれいな音がオーケストラのやや上部で鳴っているように感じる。軽い」という表現はあたらない。きれいなサウンドは天上から舞い降りてくる。
ロドリーゴはデリカシーの極みのような曲を作り上げ、この日の演奏はそれを見事に表現した。
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前半一曲目のトゥリーナ。やっぱり最初の曲から切れ味鋭かった。ロペスの譜面不要の棒さばきは一曲目から殊の外素晴らしく、初めて聴くこの曲が歯切れよく美しいサウンドで満足でした。
おわり

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1 コメント

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当方Blogへのご訪問ありがとうございました。 (Thunder)
2010-09-22 01:30:03
当方Blogへのご訪問ありがとうございました。

なるほどと同感する部分が多いです。
実に表出する情報量の多い指揮者だと思いました。
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