1990年バンベルク交響楽団の来日公演は4月28日(土)から5月11日(金)まで12回行われた。全部ブラームスである。
4月28日(土)初日から4日間連続でサントリーホールに通えばブラームスの交響曲と協奏曲をまるごと聴くことができる。その通りにした。
4月28日のことは書いた。今日はブラームス・チクルス二日目。
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4月29日(日)7:00pm
サントリーホール
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ブラームス/悲劇的序曲
ブラームス/ヴァイオリン協奏曲
ブラームス/交響曲第2番
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ヴァイオリン、
フランク=ペーター・ツィンマーマン
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ホルスト・シュタイン指揮
バンベルク交響楽団
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昨日のプログラムよりは少しばかり明るいか。
ヴァイオリン協奏曲は弦による第一音が出てくると、どうしても襟を正したくなる。そんな礼儀正しい音楽だ。あの音はたまらない。
オイストラフ、ジョージ・セル、クリーヴランド、によるあの素晴らしい演奏が忘れられなく、この曲を聴く基準のような演奏になってしまった。ただ、EMIのレコードの時はいいサウンドだったが、CD特にHS2088のCDは音幅が狭くなったような気がして、昔のような感動に浸ることが出来ない。
それで、今日の協奏曲であるが、オケの弦の音が太い、少しざらざらしているかもしれない。
クリーヴランドのような透明感はなく、あくまでも交響曲風に押し切るようにも聴こえる。
そんななかソリストのツィンマーマンが弾いていくのは、チト、辛い。
音色が少し異なるのかもしれない。
太さはあるが透明度水滴のような音、ツィンマーマンの方が一歩上をいく。
でも第2楽章のチェロの秋風のあと、ちょっともつれ気味の第3楽章はそれなりにヒートし、やはり納得、というか、屈伏。
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第2番の方は、オーケストラ、指揮者、ともに全開しているつもりだろうが、全開の方向が大衆の方向を向いていないようだ。
なにが大衆か?というところもあるが、みんな喜ぶ喜びの音楽ではなく、交響曲なのだ。
ホルスト・シュタインのチリチリするような熱は第4楽章で花開くが、その雰囲気がどうも第4番の第4楽章みたいな感じになっており、曲が在るよう自然に流れて盛り上がる。
オーケストラの音の重なり、アンサンブルが重なるところで自然に厚みが出てくるようにさせておき、ある楽器・セクションに突出した響きを求めない。これがシュタインのブラームスのバランス感覚なのかもしれない。
コーダでは圧倒的に盛り上がったものの、外に出ると何故か心はすこしばかり曇っていて、これから迎える季節は冬のような錯覚に陥った。
おわり
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