すし職人追った米記録映画、日本で公開
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世界各地で愛され、日本の食文化の代表として知られるすし。すしに人生をかける日本の職人を追った米国のドキュメンタリー映画「二郎は鮨の夢を見る」が日本で公開される。手がけたのは29歳のデヴィッド・ゲルブ監督。メトロポリタン・オペラ総帥のピーター・ゲルブ氏を父に持ち、幼い頃から日本文化に親しんで育った監督が満を持して取り組んだ作品だ。
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東京・銀座のすし店の初代店主、小野二郎さんと、同じ職人の道を歩む息子たち、店で働く職人たちの姿を描く。下調べを兼ねて日本の立ち食いすしや回転すしの店を食べ歩き、小野氏の取材許可を得るために店や築地市場に日参し、職人の世界の礼儀作法を学び、ようやく舞台裏の撮影を許されたという。
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「80歳を過ぎた今も現役の職人としてさらなる高みを目指して技術を磨く二郎さんには特別のオーラがある。彼の哲学、人生を見せたかった」とゲルブ監督。大きな存在である父とその息子という関係性は、自らの境遇にも通じ、「映画を作るうえでいいインスピレーションになった」という。
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米国ではわずか2館で公開されたが、口コミで人気が広がり、上映館も拡大。異例のヒットとなった。次回は一転してSF作品に挑むという。映画は2月2日公開。
(2013/1/31付日本経済新聞 朝刊)