昔の演奏会から。
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1980年7月4日(金)6:45pm
NHKホール
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プフィッツナー 歌劇「パレストリーナ」
第1,2,3幕への前奏曲
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シュトラウス 13管楽器のためのセレナード 作品7
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シュトラウス 交響詩「英雄の生涯」
ヴァイオリン、徳永二男
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クリストフ・ペリック 指揮 NHK交響楽団
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昔、クリストフ・ペリックはいい指揮者だと思った。前週はオール・ベートーベン・プログラム、そしてこの週はプフィッツナーとシュトラウス。相当な自信があるのだろう。
それで例によって当時のメモから。
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「
この指揮者の棒はほとんど目に入らない。目障りなところがなく飾り気がない。しかし、音楽の方はけじめがあり明らかに何もしていないのではないということが容易にわかる。非常に好ましいと思う。と同時に何か天才的なものに欠けるような気もする。マゼールみたいなひらめきがほしいとも思う。
この前から最前列で2回立て続けに聴いているがなんたるN響の実力!素晴らしいと思う。海外の一流オーケストラ、少なくとも今まで聴いたオーケストラとほとんど変わるところがないと思う。N響をばかにしている人は一度他の日本のオーケストラと聴き比べてからもう一度比較してほしいと思う。素晴らしい熱演というのは確かに実力がある者に対していう言葉ではないだろうか。
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プフィッツナーとシュトラウスの13管は初めて聴く曲だが全く素晴らしい演奏であった。プフィッツナー1,3における弦楽器の美しさ、木管のハーモニーはどこのオーケストラにも勝る。また、2における金管群も2,3か月前と随分と変わったような気がする。それは席が最前列であるせいかもしれない。金管も全く調和のとれた、またバランスのよい演奏であったように思う。
13管は指揮者不要でバランス、ハーモニー、音色、全ての面において楽しい演奏であった。まさにトップ奏者である。
英雄の生涯は既に以前、ホルスト・シュタインの熱演で聴いたことがあるが今回はまた異なった音楽を楽しめた。すなわち、輪郭のはっきりしたすっきりした演奏。これは実力なくしては至難の業である。ヴァイオリン独奏が少し弱いような気がしたが、これもたいした傷ではなかった。
最前列にいるとこの曲のむずかしさがよくわかる。特に経験のある人ならよくわかると思う。とにかく非常に難しい曲だと思う。しかし全く感動した。強奏部における分解度と抑制されたハーモニー。シュトラウスの作った音の絵巻は素晴らしいものであった。ときとして指揮者は指揮されていた。
」
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といった短い感想メモでした。
その後、ペリックがN響を振り続けたのかどうかはわからない。
おわり
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