2019年7月14日(日) 2pm-5pm 東京文化会館
オペラ夏の祭典2019-2020 プレゼンツ
プッチーニ 作曲
アレックス・オリエ プロダクション・ニュー
トゥーランドット (日本語と英語の字幕付き) 32-43-36
キャスト(in order of appearance)
1.官吏、豊島祐壹(Br)
2.ペルシアの王子、真野郁夫(黙役)
3.カラフ、テオドール・イリンカイ(T)
3.リュー、中村恵理(S)
3.ティムール、リッカルド・ザネッラート(Bs)
4.トゥーランドット、イレーネ・テオリン(黙役)
5.ピン、桝貴志(Br)
5.パン、与儀巧(T)
5.ポン、村上敏明(T)
6.アルトゥム皇帝、持木弘(T)
7.トゥーランドット、イレーネ・テオリン(S)
他
新国立劇場合唱団
藤原歌劇団合唱部
びわ湖ホール声楽アンサンブル
TOKYO FM 少年合唱団
大野和士 指揮 バルセロナ交響楽団
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ActⅠ 32
ActⅡ 46
ActⅢ 36
衝撃の結末にいまだ興奮冷めやらぬ。
ミラキュラス・ビューティーの氷の声。最後の一声。それは愛。と、抱き合うと上から真っ赤な花びらがパラパラと。なんでこんな野暮なことするのかなあ、と。でも、あれ、最後の一瞬技で飛び散るであろうものの前触れなんだよね。色々と後戻りしたくなる壮絶な結末は良し悪しはどうであれ、舞台演出を観る醍醐味に違いない。
衝撃の結末をたどっていくと、最初にあった1分にわたる前出しのパントマイムは祖母が襲われる姿だったのだろうかと思いを巡らす。
字幕は日本語と英語。これがなかなかいい。
全体印象は、白装束、黒装束、階段工場、等々、色々と意味深ですな。場面が次々と変わっていく毎にそれまでのことを思う。記憶力を試されているようだ。
上から天井が下りてくる。そこにはテオリンが乗っている。
ピットのオケサウンドが上に向かい天井にぶつかり跳ね返って下りてくる、その最中の音を耳が鷲づかみ。バルセロナのでかい音。ミラキュラス・ビューティー(英語字幕のほう)のテオリンの声がまたでかい。この演出、ドツボにはまりそうな適役。鮮やかな歌いっぷり。
イン クエスタ レッジャ 唸るばかりなり。調性を取り戻し氷のようなうねりの音楽が最初からクライマックス。空気を吸い込むような空間、強烈な押しでひずむ空気。双方すみずみまで冴えわたる美唱。テオリンの絶唱でした。
それから、中村さんのリュー。芯のある透き通る声、上に登り詰めるほどに抑制の美。一瞬、ここで終わってもいいかな、と、あらぬことがよぎった。お見事でした。
初めの音が出る前の前出し1分パントマイム、それと対をなすような最後の一瞬技。やっぱり、ここは演出家に語ってほしかった気もするが、まあ、彼らにとって舞台で起きることが全て、ということなんだろうね。演出という作品を投げ渡し、聴衆に任せる。それはそれで大いに納得できること。これもオペラ演出を観る醍醐味。
ありがとうございました。
おわり