2017年5月23日(火) 7:00-9:20pm 東京文化会館
オール・シベリウス・プログラム
エン・サガ 19′
ヴァイオリン協奏曲ニ短調 16-8+8′
ヴァイオリン、堀米ゆず子
(encore)
バッハ 無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第3番BWV1005より、ラルゴ 3′
Int
交響曲第5番変ホ長調 5+5-9+9′
(encore)
フィンランディア 9′
悲しきワルツ 5′
サントゥ=マティアス・ロウヴァリ 指揮 タンペレ・フィルハーモニー管弦楽団
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指揮者もオーケストラもお初で聴きます。
最初のエン・サガ、音が薄くて奥行きが浅い。全体にガサついている。そんな第一印象の音。
そのエン・サガ、スタティックなところがまるで無い。静かさと弧が印象的な曲と思っていたのだが、どうも、よく動く。動きのある演奏で、それが聴き進むにつれてシベリウス的アクセントというかイディオムなのだろうかと妙に説得力がある。リズミックでメロディアスなエン・サガ、興味深く聴きました。この作品、楽しめた。ロウヴァリの解釈が効いているのかもしれない。
堀米さんは、2年前の2015年のちょうど今頃、ラザレフ日フィルの伴奏でブルッフをやったのを聴きました。あのときも同じアンコール。
堀米さんの若いときの演奏は色々と聴いたような記憶なのだが、前回のブルッフで昔との距離を感じました。
今日はシベリウス。音色にあまり特色のないオケの伴奏で、堀米の艶やかな音とまるでブレンドしない。音色乖離。コンチェルトソリストはオケを選べないのだろうが、ちょっと違いが鮮やかすぎる。
憧憬の眺めをしているのだろうか、堀米さんのヴァイオリンは時に過ぎ去りし時を見ているようだ。時に立ち止まり流れが止まる。
中間楽章が落ち着いていて色彩を楽しめた。終楽章のノリは前進して欲しい気もする。最後のオケ打撃の中でのフィニッシュはアクションほどは決まっていない。
今日の入りは、1階席は半分ほどしか埋まってなくて、本人もアレって思ったのかもしれない。やる気的に。
スタッフなのか奏者なのか知らないが空き時間に袖のほうからチラチラと何度か客席を心配そうに見ている。半分ですから、どうなっちゃってんのということかもしれない。
シンフォニーもエン・サガのモード、こうなると指揮者の形ですね。かなりあっさりしている。スカスカ過ぎていって30分かからず終了。フィナーレコーダの印象的な打撃音と空白、あすこだけはコッテリしていました。オーケストラのザッツは完全に一致し、ティンパニの濃厚で粘着ながら輪郭明確な打撃。この最後の表現が全般を覆っていればさらに素晴らしい演奏が出来るのだろうと。
ロウヴァリさんの棒はかなりユニーク。上のほうに引力があるのではないのかと思ってしまう。細身で小柄ながら腕が長い。両腕が柳のようにしなる。何かに巻きついているんではないのか、それに両足もあちこちに動きこれも巻きついていそう。これでプレイヤーがよくわかるもんだと思っちまうが余計な心配だろうね。
アンコールのフィンランディアはフレーズの頭に力をこめた表現、ワルツは濃厚で中間部の動きは目くるめく様なスピード。
色々と楽しめました。
おわり