河童メソッド。極度の美化は滅亡をまねく。心にばい菌を。

PC版に一覧等リンクあり。
OCNから2014/12引越。タイトルや本文が途中で切れているものがあります。

1407- 活き活きアンサンブル、ブロムシュテット、バンベルク、エロイカ&7番、2012.11.1

2012-11-03 10:33:00 | インポート

2012-2013シーズン聴いたコンサート観たオペラはこちらから。
.

2012年11月1日(木)7:00pm
サントリーホール
.
ベートーヴェン 交響曲第3番 英雄
.
ベートーヴェン 交響曲第7番
.
(アンコール)
ベートーヴェン エグモント序曲
.
ヘルベルト・ブロムシュテット 指揮
バンベルク交響楽団
.

素晴らしいプログラム。
このようなプログラムを胸を張って振れたのは、日本人なら朝比奈あたりまででしょう。
魅力的でこわいプログラム。がなり立てるマーラーよりよっぽど難しそう。
.
編成は後半の7番の方が人数が減るというもの。
エロイカは14型、対向配置、ホルン4、トランペット3(たしか)、他2管。
7番は14型、完全2管。
アンコールのエグモントはホルン2本増強。
.
以上の編成で繰り返し全てあり。(と思います。)
コンパクトな編成でオケは拡散せずポーディアムを中心にギュッと集まる。これで思い出すのがギュンター・ヴァントのハンブルクです。このコンビの最終来日のときは圧縮凝縮配置でしたね。正面で見ているのになぜかヴァイオリンの背中が見えるといった具合。
これほど極端ではありませんでしたが、この日のスタイルは近いもので鳴る前から拡散しないだろうなということが自然とわかる。
.

プログラム前半はいきなりエロイカ。
16分、14分、6分、11分。
結構な高速です。
ブロムシュテットは第1楽章の冒頭から同楽章最後のバーまで、1拍子振りを貫きました。いきなり見事な音楽の流れとなった、というしかない。途中の例の変則リズムの5個の打撃音も完全1拍子。これって見てると、棒と音がどうリンクしているのかわからなくなります。両者全身に全く同じリズム感覚をもっていないとああならないと思う。とにかく、第1主題も第2主題も3拍子系という感覚はほぼなくて重くならずどんどん前進。
1拍子振りですからご本人はアクセルを踏むのも比較的楽かもしれません。驚くべきはこの棒にものの見事にドライブされまくるオーケストラの生きたアンサンブル!活魚のごとき自発的で積極的なアンサンブルには驚嘆。この姿勢無くしてあの棒についていくのはなかなか難しいと思う。波打つアンサンブル。
ですからこの楽章、見た目が非常にユニーク。カメラははいってなかったので後にも先にも想像してみてください。指揮者のブロムシュテットがまるでスローモーションのように振っているのに、オーケストラはゆらゆらと動き、音楽は快活に鳴り前進を重ねる。超常現象的ミラクル。
.
第2楽章は葬送行進曲、よく聴いてみてください。マーラー第6交響曲悲劇的、第1楽章短い序奏の後すぐに現われる第1主題。これをテンポを落としピアニシモで口ずさんでみてください。葬送行進曲があらまれませんか。
ブロムシュテットの棒はここでは1拍子とはならないが、スタイルは第1楽章と同じです。どんどん先に進みます。メロディーライン毎のフレーズ間にほとんどタメを作らず進む。一番すごかったのは第4楽章変奏曲で快速テンポからコーダ前のスピードダウンした最後の変奏曲へのパッセージ。タメ・ゼロで突き進みましたからものすごい場面転換。だいたいこんな感じで進む。
確信犯的タメ・ゼロの演奏聴いたことあります。アシュケナージの悲劇的。タメを排除した猛スピード。
ブロムシュテットとアシュケナージの芸風が同じとは言いませんが、見た目(聴いた耳)的に、同じような結論の音楽を聴けることって、たまにある。
この楽章も生きた弦のアンサンブルが秀逸。日本のオケもこんくらい掘ってほしいよね。指揮者次第かもしれないが。
.
第3,4楽章も推して知るべしです。
弦と管とティンパニのバランス感覚が非常に良い。おそらく本拠地とこのサントリーホールと特性とか雰囲気が似ているのではないかという気がします。日常的なバランスの良さが良く出ていたと思います。アンサンブルは周りの音が聴こえないと生きた演奏にならないと思いますので、似ているというのはやりやすいと思います。
スケルツォのあとのトリオのホルンはどちらかというと細身で、特に光り輝くというわけではない。むしろ抑制。最上のバランスです。
ブラスがもう少し抜けて聴こえてきてもいいような気がする、というのはマーラーの聴き過ぎかも。
第4楽章の変奏曲はノー・タメです。そんなところで呼吸している暇があったら先に進もう、そんな感じ。弦は厚さよりもますます凝縮さを感じる。無理やり圧縮された音楽ではなくて、解放された凝縮感ですね。弦が地を這っているのではなく、温泉が湧き出ている感じ。コーダも奇抜さはない。いたって普通の演奏。
サウンドバランス、活魚アンサンブル、強弱バランス、だけでなかったんです。結局のところソナタ形式の形式感、構造物としてのエロイカ、これが出たんです。
両者が見事に一致した演奏。彼らにとっては日常かもしれないが、このような演奏は今の日本では聴くことが出来ない。流行っている曲種も違いますし。
.

後半は7番。
13分、8分、10分、9分。完全2管
エロイカがあったので猛爆進かと思いきや、形式感重視の構造バランスを整えた演奏となりました。ここらへん、やっぱり知性とか理性とか根ざした文化とか、そういったものを感じますね。
第1楽章の序奏は巨大ということはありません。聴いた後、あすこは頭でっかちにならなかったよねという残像。構造のバランス感覚です。それから、
フリッチャイ&ベルリン・フィルによる超ヘヴィー級のベト7が世の中にはありますけれど、あれの第1楽章の最後のところってブラスがスッキリ抜けて終わるんですよね、要所は締める。ブロムシュテットも同じです。構造物は壊しては何もなりません。
ブロムシュテットは昔から3拍目を早めに切り上げてアウフタクトを長めに保つ癖棒なところがありますが、この日は割と少なかった。曲のせいなのか、最近の振りなのかわかりませんがそう感じました。
ほぼアタッカ状態ではいった第2楽章は憂いを含んだ弦が秀逸。そして管の見事なアンサンブルバランス。テンポは速め。
第3楽章は1拍子振り、スケルツォとトリオが2回あるので、第2楽章との時間バランスが逆転気味。静と動がフィナーレをイメージ。非常に滑らかな演奏。
終楽章は節度のある嵐、アンサンブルパワー、理性を保持した熱狂、基本の上に全てがある、そのようなところが素晴らしい。形式感を忘れない熱狂。本流の演奏解釈と表現です。
なにもいうことはありません。
.
アンコールはエグモント序曲。
8分、ホルン2本増強。
やるまえからエグモントしかないと思ってました。
いいですね、エロイカの第1楽章と同じです。充実した流れ。これ一曲目に聴きたかったと思いますが、そうすると何をアンコールでやるか、ちょっとわからなくなりますね。
ブロムシュテットのカーテンコールが一回ありました。
おわり
 

 


コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。