河童メソッド。極度の美化は滅亡をまねく。心にばい菌を。

PC版に一覧等リンクあり。
OCNから2014/12引越。タイトルや本文が途中で切れているものがあります。

1502- 高速爆演マーラー5番、準・メルクル、pmf2013.7.31

2013-08-02 20:25:00 | インポート

2012-2013シーズン聴いたコンサート観たオペラはこちらから
2012-2013シーズン
.

2013年7月31日(水)7:00pm サントリー
.
武満徹 A String Around Autumn
 ヴィオラ、ダニエル・フォスター
.
マーラー 交響曲第5番
.
(アンコール)ホルスト/田中カレン編
       惑星より、木星(PMF賛歌)
.
準・メルクル 指揮 PMFオーケストラ
.

この日はPMF東京公演二日目、今年のPMFラストの公演でした。
まず一言、前の晩のはち切れんばかりの快活で圧倒的なイメージを帳消しにしてしまったこの日の前半プログラム。選曲ミスです。
武満の曲は音楽の律動を拒否したものでありこの主旨の演奏会に相応しくない。なにがなんだかわからない曲であることを越えて、相応しくない。
一日前の活気が一気にしぼんでしまいました。興ざめ。
この日の演奏会はチャリティーコンサートと銘打ってあり、冠コンサートということもあり、ならば盛況に盛り上がると思いきや、2階センター席、RD、LDあたりのおいしい席はガラガラ、二人で10席みたいな感じ。それに比べ、P席、RA、LAはほぼ埋まっている。形はちがうがドーナツ現象的違和感。
全般に高くないチケットで、そういう意味では聴衆の絶対数が少なかったという事実は、相応に受け止める必要があると思います。
チケットの価格と言えば、チャリティーが前日の通常のコンサートよりなぜ安いのかも不明で、価格のどの部分が寄付に回るのかわからない、もしかして無料コンサートで、チケット価格が全額チャリティーなら話はわからないでもないが。
いずれにしてもこの空席のシラケ配置と前半の選曲ミスのせいで、最初はかなりの興ざめモード。
休憩時間に前半のことは忘れる努力をした。
.

メインのマーラーに焦点を絞ってきた人たちも少なからず見うけられ、後半は少し聴衆も増えた感じでスタート。
結果的には、前半のモヤモヤしたものを全て忘れさせてくれたメルクルの一大爆演となりました。
マーラーの5番は第2楽章後半のファンファーレに思い入れがありますが、メルクル棒では高速瞬間通過。第1楽章からギュッギュッとオーケストラを絞り込んでいく指揮で、濡れ雑巾をひたすら絞り込み水っけを取り、乾きそうになったところで、バケツの水に雑巾を入れなおし、また絞り込みモードにする。そんな感じでの演奏で、激しい演奏が猛スピードで進む。第1楽章ではこんなものかという感じがありましたが、第2楽章のファンファーレ軽く通過あたりから尋常でない引き締め高速モードの実態がベールを脱ぎ始めた。第1,2楽章ではそれでも曲想を越えた臨界点演奏までにはなっていなかったが。
第3楽章は曲想の妙もありコクのある思い入れたっぷりのところも見え隠れし、高速エンディングもうまくきまっていた。個別のスキルが高く、空中分解せずに済んでいるが、各インストゥルメントのトップが一つ間違うと総崩れになりそうな際どさがありますね。メルクルがかろうじて淵のこちら側に引き戻している。引き戻していると言っても駆り立てているのが当の本人なので、巧みなコントロールと言わねばならない。
アダージェットは、本当の音と聴く側の思い入れと呼吸、それらが相乗作用を起こすような指揮でなければならない。爆進の中にあって一服の清涼飲料水。弦の圧力は束になって相変わらず非常に美しいものであるが、前の晩のようなチリチリ感はない。
第5楽章の進行は過激で、グイグイ押していき、加速に加速を重ねどこで終わったのかわからないぐらいの圧倒的スピード感のうちに昇天。ユニークな演奏で、これがメルクルの普段の棒だとしたら、是非ともプロオケでの鳴り具合を聴いてみたい。
とにかく激しい棒でした。第5楽章の大胆不敵で圧倒的な前進性、何かに取りつかれたようなメルクの棒は言葉では言い表せない。こうゆう演奏にふれるのが生を聴く醍醐味であるし、まぁ簡単には忘れられない演奏でしたね。
.
オーケストラは前日に比べて総じて少し粗い。前半の武満は選曲ミスであり、ここにもっと活き活きした曲をもってくれば精度も上がったのかもしれない。ノリは後半、メルクルが強引につけた部分もあるかもしれないと思ってしまう。
個別のソロは素晴らしいが、アンサンブルの深みが薄く、金属的で平板な傾向あり。特にウィンドとブラス。それからブラスは突然乱れたりすることはないが、終始今ひとつ不揃い。弦のアンサンブルは優秀、昨晩より潰れているというか疲れが取れてない感じが若干感じられる。曲のせいかもしれない。
全体的に立体感が今ひとつで、彫が深くない。マーラーの5番はやはり難しいのだと思う。
それでもここまでもってきたのはひとえにメルクルの熱のあるトレーニングの功績が大だと思う。彼らプレイヤーたちも準・メルクルの棒は忘れられないと思いますよ。
二日間素晴らしい演奏、ありがとうございました。
おわり


コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。