2015年8月27日(木) 7:00pm サントリー
クロード・ドビュッシー 牧神の午後への前奏曲 11′
グザビエ・ダイエ 2つの真夜中のあいだの時間 (日本初演) 13′
ハインツ・ホリガー レチカント (日本初演) 25′
ヴィオラ、ジュヌヴィエーヴ・シュトロッセ
Int
ハインツ・ホリガー デンマーリヒト -薄明- (世界初演) 24′
ソプラノ、サラ・マリア・サン
(内訳)
ホリガーによる5つの俳句を原語での読み上げ 2′
5曲連続演奏 24′
シャーンドル・ヴェレシュ ベラ・バルトークの思い出に捧げる哀歌 14′
ハインツ・ホリガー 指揮 東京交響楽団
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ダイエの曲は拍子としての指揮をやめたところから音楽がはじまるのだろう。牧神から目覚めたような刷新された響きでした。
ホリガーのレチカント、1曲目の牧神の音が少し聞こえてくるがはるかに運動を感じる。オケとヴィオラの対話だったり伴奏だったり、ホリガーの曲はかなり神経質ですね。ヴィオラは太くて明瞭です。
後半、デンマーリヒトはまず、ホリガーによる五つの俳句の原語読み上げがあり、そのあと連続して演奏にはいる。俳句のインスピレーションが見事に音化している。ひらめきのセンスにあふれている。東洋趣味はワイプアウトされている。
サラのノンビブなスキャット気味な歌いくちと曲の空白が生き生きとしていて、ホール空間を静める素晴らしさ。ものすごい集中力で、空気を吐き出し声が歌になる。世界初演に相応しいソプラノだと思いました。
最後の曲、ヴェレシュの哀歌は鼓動に何がしかの意味合いを持たせたものでしょうが、フルオケがメロディアスに歌う曲、閃きの無い駄作でした。1945年バルトーク、意味合いは理解できますが、「時代の音楽」であり、時代が過ぎ去れば陳腐化する典型的なパターンの曲だと思います。
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今年のサントリーサマフェス、都響がツィンマーマンの音場の広さを見事に認識させてくれたレクイエムでのセクションアンサンブルの凄さ、東響のホリガー自作自演の神経細胞のかたまりのような薄明の見事な表現力、それぞれのオーケストラに相応しい納得のものでした。
おわり