書籍之海 漂流記

看板に掲げているのは「書籍」だけですが、実際は人間の精神の営みすべての海を航海しています。

辻聴花 『支那芝居(上・下)』

2014年06月10日 | 芸術
 大空社複刻版、2000年4月。
 面白かった。体裁・記述ともに、とても整理されていて解りやすい。歴史的な沿革も要領よく押さえられている。数年前に崑曲関係の翻訳仕事をしたときに、この書のことを知って読んでいれば、もっとはかが行ったろうと思った。
 閑話休題、しかし、大正12/13年刊の原書になく、この複刻版で巻末参考資料としてあらたに付された中村忠行氏の「中国劇評家としての辻聴花」からうかがえる、著者の聴花若しくは剣堂・辻武雄の為人とその生涯が、書に劣らず興味深い。