引用は
こちらから。
人の田を論ずるもの、訴(うった)へにまけて、嫉(ねた)さに、「その田を刈りて取れ」とて、人をつかはしけるに、まづ、道すがらの田をさへ刈りもて行くを、「これは論じ給ふ所にあらず。いかにかくは」といひければ、刈るものども、「その所とても、刈るべき理なけれども、僻事せむとてまかるものなれば、いづくをか刈らざらん」とぞいひける。
理(ことわ)り、いとをかしかりけり。
「刈るべき理」の「理」と、「いとおかしかりけり」の「理(ことわり)」は意味が異なっている。前者はないが、後者は(あって)おもしろいというのだから。後者はいまで言う「
理屈」である。前者はなにか。