書籍之海 漂流記

看板に掲げているのは「書籍」だけですが、実際は人間の精神の営みすべての海を航海しています。

笠谷和比古 『士(サムライ)の思想 日本型組織と個人の自立』

2018年09月04日 | 抜き書き
 室鳩巣『明君家訓』で用いられるところの、「義理に基づく(主君への)抗命を肯定する」(著者の形容)“義理”という語についての、著者による注釈。

 ここにいう「義理」とは、通例知られている情緒的・習俗的に頽落した意味でのそれとは別ものである。それは普遍的な意味での「善」であり、現実の諸権威を超越した「正義の道理」に他ならないであろう。
 (「三章 『御家』と『藩』――日本型組織の成立」“(3)武士道とは「個」の完成を目指すもの”、本書88頁)


(岩波書店 同時代ラブラリー版 1997年6月)