書籍之海 漂流記

看板に掲げているのは「書籍」だけですが、実際は人間の精神の営みすべての海を航海しています。

笠谷和比古 『主君『押込』の構造 近世大名と家臣団」

2018年09月04日 | 抜き書き
 主君を含めた〔原文傍点〕大名家の成員の総てが国家共同体の官僚制を形成するということである。その目的は主君個人に向けられるのではなく、治国安民という公共性に求められる。 (「第四章 近世の国制」“第四節 君臣秩序とその思想” 本書280頁)

 すなわち主君も家臣も国家統治を職務とする役人であり、 (同、279頁)

 こうして公私の分離と、主君の地位の公的機関化が進行すると、それは必然的に、主君が公的機関に相応しくない態度を改めようとしない場合には交替させよとする、主君廃立の正当化理論としての性格を持つに至る。 (同、275頁)

(講談社学術文庫版 2006年10月。もと平凡社 1988年5月)