『小林秀雄全作品』 10、新潮社、2003年7月、18-19頁、末尾部分。
目的の為に必ずしも手段を選ばない、とは政治に不可欠の理論である。戦争がどんな拙劣な手段であろうとも目的は手段を救うと考えねばならぬ。だがこの政治の理論を、文学に応用する事は断じて出来ない。文学者の仕事は、例えば大工が家を建てる様なものだ。手段が拙劣なら目的なぞナンセンスである。文学者たる限り文学者は徹底した平和論者である他はない。従って戦争という形で政治の理論が誇示された時に矛盾を感ずるのは当り前な事だ。僕はこの矛盾を頭のなかで片附けようとは思わない。誰が人生を矛盾なしに生きようなどというお目出度い希望を持つものか。同胞の為に死なねばならぬ時が来たら潔く死ぬだろう。僕はただの人間だ。聖者でもなければ予言者でもない。
2000年代の前半、私の知る、アウシュヴィッツを日本軍の南京虐殺や歴史認識を叩く道具として使用していただけの人々の一人は、この小林の文と小林自身を、「ああ、あの保守反動ね」の一言で片づけた。確信犯として中国の走狗になって同胞批判に邁進する売国奴日本人(彼は中国へ行くと、全日本人を代表して、日本の中国における侵略およびもろもろの蛮行について謝罪して回っていたという)には、60年後の今日からみればそのままには首肯しかねるものの、この結論へ至るまでの小林の苦渋と、その下した決断の重さを理解する感受性も知性もなかったのだろう。そういう輩だから、平気でアウシュヴィッツをダシに使えたのに違いない。
以下の太字部分、メドヴェージェフ・ロシア大統領の「国土防衛の日」前日の式典におけるスピーチには、こういった小林のような“普通の国民”の言葉を正面から受け止め、それが確かに値する賛美を与えるべくして与えるといった、揺るぎのない響きと趣がある。
▲「ИТАР-ТАСС」23.02.2010, 10.45, 「23 февраля - День защитника Отечества」
〈http://www.itar-tass.com/level2.html?NewsID=14850079&PageNum=0〉
Накануне Медведев выступил на торжественном вечере, посвященном Дню защитника Отечества. "В нашей стране этот праздник уже многие десятилетия отмечается как всенародный. Защита родной земли, служба в армии и на флоте всегда считались у нас святой обязанностью, а те, кто избрал ратный труд делом всей своей жизни, пользуются большим уважением у нашего народа. Это, безусловно, мужественные люди, патриоты своего Отечества", - сказал президент.
目的の為に必ずしも手段を選ばない、とは政治に不可欠の理論である。戦争がどんな拙劣な手段であろうとも目的は手段を救うと考えねばならぬ。だがこの政治の理論を、文学に応用する事は断じて出来ない。文学者の仕事は、例えば大工が家を建てる様なものだ。手段が拙劣なら目的なぞナンセンスである。文学者たる限り文学者は徹底した平和論者である他はない。従って戦争という形で政治の理論が誇示された時に矛盾を感ずるのは当り前な事だ。僕はこの矛盾を頭のなかで片附けようとは思わない。誰が人生を矛盾なしに生きようなどというお目出度い希望を持つものか。同胞の為に死なねばならぬ時が来たら潔く死ぬだろう。僕はただの人間だ。聖者でもなければ予言者でもない。
2000年代の前半、私の知る、アウシュヴィッツを日本軍の南京虐殺や歴史認識を叩く道具として使用していただけの人々の一人は、この小林の文と小林自身を、「ああ、あの保守反動ね」の一言で片づけた。確信犯として中国の走狗になって同胞批判に邁進する売国奴日本人(彼は中国へ行くと、全日本人を代表して、日本の中国における侵略およびもろもろの蛮行について謝罪して回っていたという)には、60年後の今日からみればそのままには首肯しかねるものの、この結論へ至るまでの小林の苦渋と、その下した決断の重さを理解する感受性も知性もなかったのだろう。そういう輩だから、平気でアウシュヴィッツをダシに使えたのに違いない。
以下の太字部分、メドヴェージェフ・ロシア大統領の「国土防衛の日」前日の式典におけるスピーチには、こういった小林のような“普通の国民”の言葉を正面から受け止め、それが確かに値する賛美を与えるべくして与えるといった、揺るぎのない響きと趣がある。
▲「ИТАР-ТАСС」23.02.2010, 10.45, 「23 февраля - День защитника Отечества」
〈http://www.itar-tass.com/level2.html?NewsID=14850079&PageNum=0〉
Накануне Медведев выступил на торжественном вечере, посвященном Дню защитника Отечества. "В нашей стране этот праздник уже многие десятилетия отмечается как всенародный. Защита родной земли, служба в армии и на флоте всегда считались у нас святой обязанностью, а те, кто избрал ратный труд делом всей своей жизни, пользуются большим уважением у нашего народа. Это, безусловно, мужественные люди, патриоты своего Отечества", - сказал президент.