書籍之海 漂流記

看板に掲げているのは「書籍」だけですが、実際は人間の精神の営みすべての海を航海しています。

コトバンク 「文選読み」(其の二)

2018年01月12日 | 人文科学
 2017年12月15日「コトバンク 「文選読み」」より続き。

 金文京先生の『漢文と東アジア訓読の文化圏』(岩波書店 2010年8月)によれば、文選読みに類した漢文の訓読方法(自国語で漢語を解釈しつつ読み下す)は、韓国にもあり、たとえば『千字文』の読み方がそうである由。ただし我が国のそれとは訓・音の順が基本逆で、ハングルによる訓→漢字音となる。同書「第2章ー1 朝鮮半島の訓読」、98頁。
 朝鮮における訓読は新羅時代からあり、その事実を踏まえて金先生は、日本の訓読という漢文の読解形式は新羅から仏教とその経典とともに伝わったものである可能性を、同書において指摘しておられる。