書籍之海 漂流記

看板に掲げているのは「書籍」だけですが、実際は人間の精神の営みすべての海を航海しています。

正村公宏 『戦後史 下』 (筑摩書房ちくま文庫版 1990年4月)から

2008年08月21日 | 抜き書き
 佐藤〔栄作〕は、岸内閣時代に極度に悪化した日中関係を改善したいという希望をもっていたが、積極的に国交正常化にまで進む意志はなかった。佐藤内閣は、組閣後まもない一九六四年一一月二一月、日本共産党第九回大会に出席するために来日を希望した彭真北京市長の入国を拒否した。その後も中国向け輸出には日本輸出入銀行の融資を認めないという方針を堅持した。 (「第12章 社会的不均衡と環境破壊」、本書265頁)

 ①彭真北京市長の入国拒否、②中国向け輸出に日本輸出入銀行の融資を認めない、という二つの要素が、佐藤内閣時代の日中関係の極端な悪化の原因であると、考えて良いのだろう。『日中交流と自民党領袖たち』(2008年08月10日欄)で、田川誠一氏も大体同じ立場を取っている。彭真北京市長の件について、田川氏は同書で、両国関係悪化の要因として言及している。

ウ・ジョンナム  「<コラム>日本の独島侵奪を防ぐには」

2008年08月21日 | 思考の断片
 「中央日報 Joins.com」2008.08.20 11:33。
 〈http://japanese.joins.com/article/article.php?aid=103698&servcode=100§code=140〉

 独島(ドクト、日本名・竹島)問題は、日本が韓半島と中国大陸を侵奪しようとする領土拡張の歴史として議論されなければならない。日本人は独島について果たせなかった夢を次世代に伝えようとしている。先日の教科書解説書の改正はこうした事例の1つだ。

 アーミン・H・マイヤー元駐日米国大使の言葉を借りれば、「事実と想像をごちゃまぜ」というやつである。→2008年08月14日、「思考の断片の断片(66)」
 コラムの著者は国民大教育大学院兼任教授だそうだ。国民大教育大学院兼任教授というのは馬鹿でもなれるのか。それとも、周恩来は国内政治の配慮から馬鹿に合わせていたのだろうが、この人も、あるいはそうか。

第三次国共合作?

2008年08月21日 | 思考の断片
▲「Chosun Online 朝鮮日報日本語版」2008/08/08 10:44、イ・グァンヒ「『歴史を盗む泥棒民族』 台湾メディアが韓国批判(下)」
 〈http://www.chosunonline.com/article/20080808000043〉

 台湾の有力紙中国時報は6月1日付紙面に「韓国人は釈迦を韓国人と呼ぶ」との見出しの記事を掲載した。見出しからしてとんでもないものだ。記事はリード部分から歪曲が見られる。「韓国の文化拡張運動が再び強まっている。老子、孔子が韓国人だと言ったと思えば、今度は釈迦が韓国人だと主張している」という内容だ。
 本文はさらに荒唐無稽(むけい)で、朝鮮日報を引用した形となっている。もちろん朝鮮日報がそんな報道を行った事実はなく、該当記事を取材したこともない。韓国人がそうは考えていないので、取材対象にすらならない。
 では、朝鮮日報が「報道」した驚くべき内容とは-。
 「成均館大の研究によると、紀元前700年前後に済州島に住む韓国人が航海に出掛けた。一部は日本に向かい、一部はマラッカ海峡、一部はベンガル湾に向かった。釈迦が属するシャカ族はアーリア人ではなかった。シャカ族の生活を観察すると東アジアの生活の特徴が表れており、それに基づき推論すると釈迦は韓国人だった」
 朝鮮日報が書いたとされるこの記事が中国本土のインターネット上で広がると、すぐにマスコミの話題となり、一部ネットユーザーは「恥知らずで常識がない民族だ」と韓国人を見下した。

 なぜ「中国民報」が、大陸のお先棒を担ぐかのような真似をするのか。むじな氏の以下の指摘は、それを考えるうえでのヒントになるかもしれない。

▲「むじな@台湾よろず批評ブログ」2007-11-15 05:22、「台湾マスコミの政治傾向(11・16一部修正)」から
 〈http://blog.goo.ne.jp/mujinatw/e/63b4f1c95ea2d842dc410ad6a8f038e2〉

 中国時報:90年代までの伝統紙。創業者の余紀忠は国民党幹部ながら80年代までは比較的開明派で知られたこともあって、比較的高級感のある中立的な紙面づくりだった。日本の読売新聞を模範にしていたという。しかし2002年ごろから宋楚瑜など青系保守派に大きく傾斜。2006年には統一派系週刊誌「新新聞」編集長の王健壮になってからは常軌を逸した国民党保守派系煽動新聞となり、同年の陳水扁打倒運動ではその機関紙の様相を呈して、毎日この運動に7-8面を割く異常ぶりだった。その後も国民党機関紙と目されるほど偏っているが、しかし意外に謝長廷にはそれほど悪くはない(謝長廷の当選を予想していて、保険をかけているのか?)。90年代までに日本人で台湾に携わった人の間では、そのころの「中立高級」イメージから中国時報をとる傾向が残っているが、それは過去のものであって、現在の中国時報ははっきりいって読む価値はない。中国資本が流入している。