くじら図書館 いつかの読書日記

本の中 ふしぎな世界待っている

「霜降りひらたけ recipe  book」

2015-10-05 19:41:17 | 〈企画〉
 ごめんなさい、これを本の紹介ブログなのに書くのってどうなのよと思いつつ、忘れないうちにメモしておきます。
 GacktさんのCMを見るたびに、あのメインディッシュどんな調理法なのかと気になるのは、わたしだけではないはず!
 養護の先生から、霜降りひらたけのお吸い物をご馳走になって、細かくさくよりもちょっと大きめくらいが美味しいと思うようになりました。ひらたけ、しめじ、えのき、油揚げ、豆腐、ねぎが渾然一体となってうっとり。
 今日、娘と買い物に行ったら、ひらたけのコーナーにホクトのパンフレットがあったのです。それが「霜降りひらたけ recipe book」(本当は先頭が大文字)。サーモンとバターポン酢で炒めるとか、蓮根ときんぴらにとか見ていったら、あのメインディッシュかと思われるお料理が!
 それは、「霜降りひらたけのワイン蒸しオーロラソース添え」です!
 フライパンにひらたけとワイン、オリーブ油を入れて強火で四分蒸すだけ。えーっ、気になる!
 でも、こういうおしゃれな料理はうちの家族受け入れないかと思うので(醤油も水で割って使いますからね……)、「霜降りひらたけと厚揚げの蒸し物香港醤油ソース」を作ろうと考えました。
 ところが。
 レシピでは、ひらたけ、厚揚げ、里芋、万能ねぎと書いてあったのに、うちにあったのは「長芋」……。
 ま、まあ、いいや。長芋を半月に切って蒸します。一昨日焼き肉用にちぎったキャベツがもったいないので、適度に蒸されたあとに投入。十六等分した厚揚げを余熱で温めます。
 皿に盛って、今度はひらたけを五分程度蒸します。フライパンにガラスープ、醤油、長葱みじん切り、ごま油を温めて、蒸した野菜にかける。(ひらたけも盛りますよ)
 うちのおばあちゃんはオイスターソースが嫌いなので入れられませんでした。
 でも、これ、おいしかった。簡単です。
 今回、ひらたけの回し者のようですみません。

「日曜日のハローワーク」小田豊二

2015-10-04 04:50:34 | 社会科学・教育
 小田豊二さんは、聞き書き作家なのだそうです。この本の中に、その職業について触れている場面もありますが、インタビューした内容をまとめて、読者に伝えていく喜びを全体から受けました。
 「日曜日のハローワーク」(東京書籍)。図書館の新刊棚にあって、最初は気にしなかったのですが、帯の紹介文に惹かれて借りました。
 興味深い! 世の中にはいろいろな仕事があるものですねぇ。「コンビニアイス評論家」「縁日の露天商」「銭湯絵師」「フラメンコ・ダンサー」……。
 覗いたことがないような仕事ばかりですから、意外なことや初耳のこぼれ話も盛りだくさんです。
 例えば「金魚チャンピオン」。犬は交配すれば「雑種」だけど金魚は「新種」になる。なるほど! 和金と三色出目金(これは赤出目金の突然変異)を掛け合わせると「朱文金」が生まれ、それが固定種になる。すごいですねぇ。こういうのは金魚だけだそうですよ。

 さて、今回もなんと一関市藤沢の話題が入っていました! 「謎解き広報室」といい、流行っているのか藤沢?
 真っ直ぐな何もない道……。確かに……。そこをずーっと山の中に入っていくと、「観樂樓」という民宿がある。そこのご主人を訪ねて行ったそうですよ。仕事は「農家民宿主人」。
 自宅を民宿にしたいと思ったところ、「前例がない」と断られ続けたため、なんと町会議員に立候補して町の人たちの考えを変えていく。現在では海外からもやってくる人がいるとか。
 また、「相撲のタニマチ」もおもしろかった。まだ若い力士を育てていくのも大切なことなんですって。
 というのも、実は前任校の卒業生が角界にいるからなんですが……。まだこれからの子なので、頑張ってほしいと思っています。こうやって、若い力士を援助してくれる力は、ありがたいですね。
 こういう職業案内、もっと読みたいです。ぜひ続編を!

「逆転のメソッド」原晋

2015-10-03 16:20:40 | 芸術・芸能・スポーツ
 お正月、久しぶりに箱根駅伝を見ました。青山学院の快走、印象的でしたね。家族で電気屋に行ったので、そこでも見たなあ。
 わたしは自分が学生のときに応援していた選手が現在監督として指導している姿も、励みになります。
 原監督もまさにその年代。しかし、記憶にありませんでした。
 それもそのはず。彼は関東学連に所属していないんですよね。だから箱根は走っていないのです。九州電力で現役引退したあとは、社員としてオール電化住宅の営業を行っていたというエピソードは、実業団選手らしいなと思いました。
 しかし、今まで総務の仕事をしていたのが、突然畑違いのことをしなければならないわけですから大変です。このころの仕事についてお名前を出しながら周囲の人に感謝をし、当時の成功の秘訣を描いています。
 というのも、タイトル「逆転のメソッド ビジネスも箱根駅伝も一緒です」(祥伝社新書)。
 様々な工夫をして、三年で頭角を表し、十一年で優勝。まずは選手たちの生活意識から変える。
 「規則正しい生活」といっても、言葉でいうほど簡単じゃないですよ。集団を変えていくのは、スローガンを掲げて、根拠とともに言い続けて、範疇から外れそうになったときは根気よく諭して、結果がでるように導いてできたら賞賛する。
 でも、そういう意識で人づくりをしていたら、好感のもてる選手たちがそろいそうですね。実際に青学の選手たちの走り、そして彼らの笑顔に感銘を受けたという人は多いようです。
 わたしが印象的だったのは、利府高出身の高橋選手。青学らしさを求める監督にアピールするところがなるほどなーと思いました。監督自身も、陸上選手としてだけでなく、大学自体になじむ生徒を要求したようですし。高橋選手というと、震災でお姉さんを亡くされたエピソードが有名ですが、ひたむきさを感じました。

 優勝の夢を叶えた原監督が、できるものなら相撲部屋の親方になって「日本人横綱を育てたい」なんて言ってるのもおかしかった。
 今回、読書感想文を書いてきた子がこの本を取り上げていたのですが、やっぱり同じ本を読んでも興味を引く場所は違いましたねー。とりあえず、原監督の「魔法をかける」を図書館から借りてきました。そしたら、青学のトレーニング方法を書いた技術書も出てるのね。出版業界も旬の人は逃がさないなあ。

「虹の向こうの未希へ」遠藤美恵子

2015-10-02 20:40:20 | エッセイ・ルポルタージュ
 「未希の家」オープンのニュース、わたしも見ました。我が家は朝はNHKを見ているので、この本を構成した後藤岳彦さんが取材されているのかもしれません。
 未希さんの声が残っている映像、これも何度も見ています。地元ですからね。ただ、わたしはまだ志津川には足を運んでいません……。
 今回、この本を読んだら、美恵子さんは新幹線に乗るときにくりこま高原駅を利用しているのだそうです。わたしの生活圏内に、共通する場所があることに、なんともいえない気持ちがしました。
 県北部だから当たり前のことではあるのですが、思った以上に「近い」。たどったら、共通の知人がいるかもしれません。未希さんは志津川高校出身。教え子と同級生かも。再従弟も勤めていました。旦那さんは内陸部出身だというし……。
 「虹の向こうの未希へ」(文藝春秋)。
 東日本大震災で津波に飲まれた南三陸町の防災対策庁舎。十メートルの津波を警戒し避難を呼びかけた役場職員・遠藤未希さん。職務を全うした彼女の行動が称えられるなか、母親の美恵子さんが三年半の間にあったことを振り返ったものです。
 娘を失った母親が、どうやって過ごしてきたのか。癒やされることのない悲しみ。ストレスケアの資格をとったり、日記をつけたり、特殊公務災害の手続きをしたり……。なかでも、民泊施設「未希の家」の運営を目指して活動する姿に心が震えました。
 わたしにも娘がいますから。
 未希さんを失うなら、役場への就職を勧めなければよかった。それどころか、自分が結婚していなければこのような不幸にはならなかったのではないか。美恵子さんは自分のことを責め続けます。
 でも、遺品から二十歳のバースデーカードが見つかり、「母さん、私を生んでくれてありがとう」という言葉があったとき、そのメッセージに心が軽くなったといいます。
 このカードのことも、ニュースで見ました。
 他にも、防災対策庁舎の解体をめぐるあれこれなども、地元では何度も報道されていました。住民投票を経て、現在は震災遺構として残す方向に落ち着いたはずです。
 美恵子さんは、つらくても未希さんの分まで生きると語ります。
 「未希の家」について、遠藤さん夫妻に「夢がかなう」と言った人がいたそうです。悪気があったわけではないとわかってはいるけれどショックだったという場面があります。二人にとっては「夢」ではないのです。旦那さんは「供養塔みたいなものだ」と言ったとのこと。
 未希さんのことがクローズアップされることは、美恵子さんにとっては違和感もあるようでした。
 この震災で、遺族として同じように苦しい思いをしている人はたくさんいるのだと思いました。
 読んでよかった一冊です。紹介してくれたHちゃん、ありがとう!
 

「ザ・藤川家族カンパニー」響野夏菜

2015-10-02 04:47:18 | 文芸・エンターテイメント
 新刊文庫コーナーでみかけて気になっていたのです。「ザ・藤川家族カンパニー あなたのご遺言、代行いたします」(集英社文庫)
 横浜の、かつて診療所だった家で暮らす兄弟たち。四寿雄(便利屋)、五武(弁護士)、六郎(浪人生)、七重・八重・九重(三つ子。中三)。この中で唯一の女子七重は、どうしても家事の中心を担うことになります。
 彼らは父の三理(カメラマンでロマンス詩人)が数回の結婚で生まれた子どもです。三つ子の母親は亡くなっており、六郎の母親は再婚の際に引き取らないと言ったのです。別れたけれど友人としての付き合いが途切れない最初の妻承子さん(四寿雄と五武の母)が相談に乗ってくれることはありますが、基本は兄弟だけの生活です。

 四寿雄は便利屋をしながら「遺言代行」の仕事をしています。
 そのなかで、ある遺言から家に引き取ることになった女の子十遠。どうしてもしこりのようなものを感じてしまう七重なのですが……。

 鎌倉に住む奥様、ネットカフェ難民の男性、十遠の同級生の妹、四寿雄の親友など様々な人の死と、それをめぐる思いが描かれます。
 なぜ七重は十遠に複雑な感情を抱いているのか。その謎が解けたとき、彼女の思いもわかるのです。
 今思ったけど、三つ子の弟たちも同じように考えていたのでしょうね。彼らの視点で読み返してみます。