くじら図書館 いつかの読書日記

本の中 ふしぎな世界待っている

「タスキメシ 箱根」額賀澪

2020-02-02 19:08:29 | 文芸・エンターテイメント
「でも、大学四年間眞家と一緒にいて、努力が報われる奴はただ運がよかっただけなんだって気づいた。努力は大体、報われないんだ」
 藤宮くーん! 頼むからわたしの涙腺決壊させないで!
 何度も、胸が熱くなりました。額賀澪「タスキメシ 箱根」(小学舘)。
 前作もよかったんですが、寧ろこの続編のためにあったのではないかと思うくらい。
 箱根駅伝に関わる本は好きで読むのですが、下位の学校でそれでも走りたい、卒業したら選手としては走らないと決めている四年生たちの姿が……。
 優勝校の喝采のかげで、シード落ちや繰り上げスタートに怯え、自分の選手人生を賭けても走り抜きたいと思い詰める彼らの姿が、胸を打つのです。

 栄養管理兼コーチアシスタントとして紫峰大学駅伝部にやってきた大学院生、眞家早馬。キャプテンの千早は、何となく彼に好意を持てずにいます。
 弟、チームメイト、友達がそれぞれ優秀な駅伝ランナーである早馬は、箱根を給水係として走っています。
 予選会を今年こそ突破して、箱根に出場したい部員たち。
 その中で、千早はアキレス腱炎症のために棄権することになり……。

 続けること。後悔。努力に裏切られること。
 スポーツに限らず、自分の夢を「達成する」とはどういうことなのか。
 手元に置いて何度も読みたい。
 
 今年、紫峰大学のモデルであろう筑波大学さんが箱根に出場しましたね!
 こういうリンク、楽しいです。
 ラストの東京オリンピックは、札幌開催決まる前なので神保町に出かけてますが、そんなに気にはなりません。
 
 特に好きなのは、二区で優勝を狙う慶安大のエースと競り合った森本が悔しがる場面。飄々と取り組んできた彼の変化が、いいんだなあ。
 それから、訪ねてきた藤宮に、チーズと鰹節を渡すところも。
 あと、メンバー発表のときに早馬が作っている手巻き寿司がおいしそうなんです! 肉を焼いてるよー。サンチュ、レタス、細切りキュウリ、玉ねぎ、かいわれ菜を海苔で巻くんだって。 来週作ろう!