くじら図書館 いつかの読書日記

本の中 ふしぎな世界待っている

「息子が人を殺しました」阿部恭子

2018-01-17 22:23:20 | 社会科学・教育
 先日、この本の出版が新聞に載っていました。加害者家族支援のNPO法人代表阿部恭子さんの「息子が人を殺しました 加害者家族の真実」(幻冬舎新書)。
 以前鈴木伸元「加害者家族」を読んだときに、阿部さんの活動を知ったので、今回も興味深く読みました。
 詐欺、窃盗、殺人など、報道される事件は様々ですが、「犯人」が隔絶される一方、家族たちは逃げ場もなく社会と関わり続けるしかありません。
 地域や見知らぬ人からの中傷。どうしたらよいのか? 相手への謝罪は?
 事件の渦中に否応もなく放り込まれて、どうにもできなくなる人も少なくないはずです。 
 親が犯した罪に自分は関係ないと思う子どもに、世間の目は冷たい。たくさん事例が紹介されていましたが、中でも気になったのは、お嬢さまから転落した子のエピソード。
 カナダ短期留学中に父親が詐欺で逮捕され、母親の実家に引っ越して近隣の定時制高校に転校するように言われた彼女は、3月までの授業料が支払い済みであることからバスで一時間半かけて通学することに。
 しかし、学校からは転校手続きをするように話され、部活では一緒に活動したくないと言われます。カナダのお土産は拒否されて、ネットに誹謗中傷が記載されます。唯一親身になってくれた友人に八つ当たりしてしまったことから、ついに転校を決意。
 新しい学校では居場所が見つかったのが、せめてもの救いですね。
 
 先日読んだ押川さんの本でも、家庭での過ごし方が影響していると書かれていました。阿部さんは「人に迷惑をかけるな」と言われて育った子どもが加害者になるケースも紹介しています。
 加害者家族、自分を追い詰めてしまう人も多いのですね。なんとも、心苦しい感じがしました。