今度は黒。
前回までがビビッドカラーだったので、一瞬気づきませんでした。小野不由美「ゴーストハント④ 死霊遊戯」(メディアファクトリー)。
そうだったそうだった。タカと笠井さんもSPRに加わって活動しているんだった。まんがではカットされているので、忘れていました。
そう考えると、いなだ詩穂さんのまんがは結構このシリーズ全体に影響を及ぼしているな、と。
元本「悪霊がいっぱい?」のタイトルではなくて、アニメも今回のリライト版も、「ゴーストハント」として統一されています。キャラクターデザインも、カバー画もいなださん。それに、読み返したせいなのか、結構まんがの場面で思い浮かんでくるのですよ。安原さんが椅子に座るところとか、坂内くんが校舎を眺めて喜ぶ場面とか、LL教室の男の子とか。
……LL教室って、昨今の読者にはわかるのでしょうか。今も活用されているの? わたしの知っている範囲では、ほとんど視聴覚室かコンピュータ室に改装されているのですが。
カセットテープに自分の声を吹き込みながら、英語の発音練習をするのですが、たしかに古い設備だからといって、この小説ではカットするわけにはいきませんよね。麻衣が男の子の霊に遭遇するこの場面、とくに怖いです。
テープといえば、ナルが高い機材を使って録画しているのも、記録媒体はビデオテープです。
やはり時代背景としては、出版当時の90年代なのでしょう。西原さんの進路希望は、「カッコ文部省」です。文科省じゃない(笑)。
四冊めも学園が舞台ですが、気になることがひとつ。宿直室に泊まることになった麻衣が、自分の学校には「宿直室なるものは存在しないので(大昔はあったようだけど)物珍しい」というのですが、一冊めで宿直室に行って悲鳴をあげるシーンがなかったっけ? 自殺した先生の噂があってさ。あれ、麻衣の学校だと思うんだけど、違う?
今回の調査には、「ヲリキリさま」という降霊術が流行した千葉の県立高校で、自殺、怪談騒ぎ、集団ヒステリー、ぼや事件と次々にマスコミを賑わすような事件が起きたことから、SPRが駆り出されるという物語です。
霊の常識を覆すような怪異の連続に、おなじみの面々は振り回されます。
払うはずだった霊は場から逃げていきますが、別の場所でまた騒ぎをおこします。普通は、霊の恨みは場に結び付くので、よそで怪異を起こすなんてことはないそうです。
霊たちは融合をして次第に大きくなっていく。
そのことに気づいたナルがとろうとした道は……。
麻衣が本当に無謀で、ラストで仲間たちに犬にたとえてからかわれていますが、まあ、これが主人公たる所以かな。
それにしても、この学校、教師と生徒との関係が劣悪。とくに学校の象徴のように描かれる「松山」が、SPRを目の敵のように攻撃してきます。進学校で落ち着いているからか生徒たちは適当にかわしているようですが、小野さんの目には当時の生徒指導がこういうふうに見えたのでしょうか。
「僕は犬じゃない」と書き残して命を絶った坂内と、自分もそのように感じることがあると考える女生徒。でも、教師側とすると複雑です。
たしかに松山はやりすぎです。しかし、彼はカリカチュアライズされているわけで、背後には「学校」体制への批判があるように感じました。
同じように拘束されることへの不満と捉えられると思うのですが、統率のとれない集団って、軌道修正するのはものすごく大変です。まとめる側だけではなく、苦しいのは流されてしまう「普通」の子たちだと思う。それは、いとも簡単に「ヲリキリさま」に乗せられてしまうこの集団にもあてはまるのでは。
ただ優しくするのは簡単ですが、厳しいのにも理由はあるのです。「松山」からは脱線してしまいますが、ちょっと苦いものが残りました。
前回までがビビッドカラーだったので、一瞬気づきませんでした。小野不由美「ゴーストハント④ 死霊遊戯」(メディアファクトリー)。
そうだったそうだった。タカと笠井さんもSPRに加わって活動しているんだった。まんがではカットされているので、忘れていました。
そう考えると、いなだ詩穂さんのまんがは結構このシリーズ全体に影響を及ぼしているな、と。
元本「悪霊がいっぱい?」のタイトルではなくて、アニメも今回のリライト版も、「ゴーストハント」として統一されています。キャラクターデザインも、カバー画もいなださん。それに、読み返したせいなのか、結構まんがの場面で思い浮かんでくるのですよ。安原さんが椅子に座るところとか、坂内くんが校舎を眺めて喜ぶ場面とか、LL教室の男の子とか。
……LL教室って、昨今の読者にはわかるのでしょうか。今も活用されているの? わたしの知っている範囲では、ほとんど視聴覚室かコンピュータ室に改装されているのですが。
カセットテープに自分の声を吹き込みながら、英語の発音練習をするのですが、たしかに古い設備だからといって、この小説ではカットするわけにはいきませんよね。麻衣が男の子の霊に遭遇するこの場面、とくに怖いです。
テープといえば、ナルが高い機材を使って録画しているのも、記録媒体はビデオテープです。
やはり時代背景としては、出版当時の90年代なのでしょう。西原さんの進路希望は、「カッコ文部省」です。文科省じゃない(笑)。
四冊めも学園が舞台ですが、気になることがひとつ。宿直室に泊まることになった麻衣が、自分の学校には「宿直室なるものは存在しないので(大昔はあったようだけど)物珍しい」というのですが、一冊めで宿直室に行って悲鳴をあげるシーンがなかったっけ? 自殺した先生の噂があってさ。あれ、麻衣の学校だと思うんだけど、違う?
今回の調査には、「ヲリキリさま」という降霊術が流行した千葉の県立高校で、自殺、怪談騒ぎ、集団ヒステリー、ぼや事件と次々にマスコミを賑わすような事件が起きたことから、SPRが駆り出されるという物語です。
霊の常識を覆すような怪異の連続に、おなじみの面々は振り回されます。
払うはずだった霊は場から逃げていきますが、別の場所でまた騒ぎをおこします。普通は、霊の恨みは場に結び付くので、よそで怪異を起こすなんてことはないそうです。
霊たちは融合をして次第に大きくなっていく。
そのことに気づいたナルがとろうとした道は……。
麻衣が本当に無謀で、ラストで仲間たちに犬にたとえてからかわれていますが、まあ、これが主人公たる所以かな。
それにしても、この学校、教師と生徒との関係が劣悪。とくに学校の象徴のように描かれる「松山」が、SPRを目の敵のように攻撃してきます。進学校で落ち着いているからか生徒たちは適当にかわしているようですが、小野さんの目には当時の生徒指導がこういうふうに見えたのでしょうか。
「僕は犬じゃない」と書き残して命を絶った坂内と、自分もそのように感じることがあると考える女生徒。でも、教師側とすると複雑です。
たしかに松山はやりすぎです。しかし、彼はカリカチュアライズされているわけで、背後には「学校」体制への批判があるように感じました。
同じように拘束されることへの不満と捉えられると思うのですが、統率のとれない集団って、軌道修正するのはものすごく大変です。まとめる側だけではなく、苦しいのは流されてしまう「普通」の子たちだと思う。それは、いとも簡単に「ヲリキリさま」に乗せられてしまうこの集団にもあてはまるのでは。
ただ優しくするのは簡単ですが、厳しいのにも理由はあるのです。「松山」からは脱線してしまいますが、ちょっと苦いものが残りました。