魚のぶろぐ

2006/5/28~。現在復旧作業中です。ご容赦願います。 ぶろぐの写真はオリジナルです。無断転載はお断りします。

トゴットメバル

2023年01月26日 17時21分51秒 | 魚紹介

今月ももう残り少ない(もう一年の1/12が過ぎたのかと思うと驚きなのだが)。しかし「メバル強化月間」ということで今日もメバル科の魚をご紹介。昨日はウスメバルをこのぶろぐで紹介してきたので、今日はウスメバルによく似た魚をご紹介。スズキ目・メバル科・メバル属のトゴットメバル。

メバル属は主に岩の間にじっとして動かないムラソイのようなもの、海藻の生えた場所や岩礁域で群れて浮かんでいるメバル類のようなもの、あるいは深海性のメヌケ類、中間的なものなどいるのだが、このトゴットメバルは比較的遊泳性が強い感じである。

体側の側線上方に黒い模様があり、ウスメバルに似ているが、トゴットメバルの黒い模様ははっきりしていることが多く(ウスメバルは不明瞭なことが多い)、その模様の輪郭は丸みを帯びている(ウスメバルでは不定形)。また側線有孔鱗数もウスメバルと比べると少ないらしい。

頭部はメバルやウスメバル同様に頭頂棘は小さく弱い。下顎はウスメバルと比べてあまり突出していないようにもみえるのだが、これだけで同定ができるような違いではないのだろうか。

トゴットメバルの分布域は北海道南部、青森県以南の日本海・太平洋沿岸、九州西岸。一方で瀬戸内海にはあまり出現しないのかもしれない。黒潮洗う温帯域のやや深場の岩礁にすむ魚という印象である。海外では朝鮮半島近海、鬱陵島、中国沿岸のほか、台湾にもいるらしいが、琉球列島では見られないようである。おもに釣りで漁獲され食用となるが、全長20cmほどとウスメバルよりも小ぶりで価値はあまり高くはない。魚屋さんでもウスメバルはよく見るのに対し、トゴットメバルはなかなか見られず、産地周辺で消費されることが多いのかもしれない。沿岸域ではほとんど釣れず、船釣りで釣れることがある程度。小さくても味は良好、煮つけや揚げ物などで美味しい。今回のトゴットメバルは和歌山県串本の産。潮崎友泰さん、ありがとうございます。なお私はほかに愛媛県の宇和海などでも見ている。メバルの仲間は岩礁の周りを好んで泳ぐという理由があるため、底曳網ではあまり獲れないのではあるが、トゴットメバルの幼魚は宇和海でも少ないが漁獲されることがある。

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ウスメバル

2023年01月25日 19時17分35秒 | 魚紹介

今月はメバル科強化月間、としたいが弾は限られている。ということでスズキ目・メバル科・メバル属のウスメバル。スーパーでは極々普通にみられるメバル属の普通種であるが、このぶろぐではなんとまだ紹介していなかった。

メバル属には大体浅い岩礁域にへばりついているものや、海底からちょっと浮いて泳いでいるようなもの、あるいは深海底に生息しているようなもの、そしてこれらの中間的な性質をもっているようなものがいるが、このウスメバルは海底からちょっと上を遊泳しているタイプであろう。海藻の多い岩礁域で大きな群れをつくるようで、釣りでは多数の個体が鈴なりになることもある。頭部の棘はあまり目立たず、そういう意味でもメバルのコンプレックス3種(アカメバル・シロメバル・クロメバル)に近いといえるかもしれない。また下顎も結構突き出ていて突起も目立つ。この特徴を持つメバル属は何種かいるが、ある程度グループわけに使えるのかもしれない。

体側の背部には独特な斑紋があるので、メバルのコンプレックスと見分けられるだろう。よく似たものにトゴットメバルという魚がいるが、トゴットメバルとの見分け方はその時にでもご紹介したいと思う。

ウスメバルは北日本に多いという印象がある。東北地方などの漁港で水揚げされるのは本種が多いし、三陸~北関東沖などでは本種が非常によくつれていた。しかし日本海岸では長崎まで、太平洋岸では相模湾まで見られる。写真の個体は長崎県産で、長崎でもある程度水揚げがあるよう。海外では朝鮮半島近辺に生息している。市場だけでなく魚屋さんではもっともよくみられるメバル属魚類のひとつであろう。関東のスーパーの鮮魚売り場は本種が一番多いかもしれない。煮つけや塩焼きなどにして美味である。また水族館にある北の海を再現した水槽ではエゾメバルやフサギンポなどとともに高い確率で見られる魚であろう。

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ヨロイメバル

2023年01月24日 20時56分22秒 | 魚紹介

この魚はヨロイメバル。スズキ目メバル科・メバル属の魚であるが、見た目は茶褐色でカサゴのようにも見える。実際にムラソイ同様、カサゴに間違えられやすいが、頭部の棘はカサゴほど顕著ではないし、ムラソイ同様に体側の色彩でも見分けることができる。ヨロイメバルは青森県以南の太平洋岸、青森県から九州までの日本海岸と東シナ海岸、瀬戸内海に分布する。海外では朝鮮半島や中国沿岸。この個体は瀬戸内海産の個体で、北村太一さんに送っていただいたもの。いつもありがとうございます。

ヨロイメバルとカサゴの見分け方としては、先述の体側の模様のほか、背鰭でも見分けることができる。カサゴ属の魚は11~13棘で大体12棘なのだが、ヨロイメバルでは背鰭は14棘であるので見分けることができる。またムラソイとも背鰭の棘の数が多いことで見分けられる。ムラソイ(オウゴンムラソイも)は大体13棘である。

 

ヨロイメバルは先述の通り広域に生息する。この個体は青森県で獲れたもので、先述したオウゴンムラソイと同じ箱の中に入っていたものである。浅い岩礁域や藻場に生息し釣りで漁獲されている。ただしほかのメバル属と比べると数は少ないようだ。ちなみにトップ画像のヨロイメバルは兵庫県の瀬戸内海側で漁獲されたものであるが、瀬戸内海においては本種のほか、コウライヨロイメバルという種もいる。コウライヨロイメバルはヨロイメバルと似ているが尾鰭に幅広い横帯があるので見分けられる。瀬戸内海のほか日本海西部、九州北部、海外では朝鮮半島やその近辺の島嶼、中国沿岸に分布している。こちらはまだ見ておらず、食べたこともない。ヨロイメバルは煮つけや揚げ物などで美味しい。

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オウゴンムラソイ

2023年01月23日 19時38分10秒 | 魚紹介

最近Facebookのコミュニティを見ていたら疑問が。オウゴンムラソイという魚の写真に「この魚はなんですか」と質問した人がいたが、ある人はオウゴンムラソイに「カサゴです」と返答されていたということがあった。オウゴンムラソイに、カサゴには出てこないような斑紋があると説明したが、実はオウゴンムラソイ、あるいはムラソイはよくカサゴの仲間と間違えられることがある。

従来はSebastes pachycephalusという学名を持つ種は基亜種を含めて4つの亜種に分けられていた。ムラソイ、オウゴンムラソイ、アカブチムラソイ、ホシナシムラソイの4種。これらは現在ふたつの種に集約された。Sebastes pachycephalusがムラソイ、S.nudusがオウゴンムラソイである。nudusとは裸(Nomen nudumで裸名)を意味すると思われるが、オウゴンムラソイでは背鰭棘基部付近に細かい鱗がない場所があり、背鰭基部付近に微小鱗が密にあるムラソイと区別することができる(上の写真参照、ただしわかりにくい)というので、ソコからきているのではなかろうか、と思う。オウゴンムラソイは生鮮時体に不規則的なレンガ色斑があるか、黄色斑と暗色斑がまじりあった模様になる。

近年はメバルの仲間で分類の再検討が行われていて、従来の「メバル」がアカメバル、シロメバル、クロメバルの3種に分けられるなどしたが、これはかなり見分けが難しい。ウケグチメバルは2タイプいるとされたが、そのうちひとつはカタボシアカメバルとして新種記載された。逆に減るものもおり、キツネメバルに近縁のコウライキツネメバルも消えたと記憶している。メバル類の中では深海性のメヌケ類のほか、ゴマソイ、ヤナギメバル、ガヤモドキ、アカガヤ、アラスカクロメヌケの5種はまだ見たことがない。ぜひとも拝みたいものである。

カサゴ

ムラソイの類はカサゴとよく間違えられるが、カサゴは概ね体側中央や背鰭基部下方あたりに白い斑点が多数みられる。ムラソイの類ではこんな模様は見たことがない。ムラソイ限定であるが、腹部や胸部などに黒い斑点があるのも特徴的である。またカサゴでは胸鰭上方が若干湾入するか、直線的であるのに対し、ムラソイでは丸みを帯びていることが多い。ただこの特徴は若干難しいかもしれない。背鰭棘数はカサゴでは普通12だが、ムラソイでは普通13であり、その点でも見分けられるようだが、難しいかもしれない。ただ、カサゴとの見分けは体側の斑紋で見分けられることが多いので、慣れればどうということもない。オウゴンムラソイは北海道~九州北部・相模湾、大阪湾、瀬戸内海に分布しているが、カサゴのほうが黒潮当たる暖かい海に多い印象がある。

さて、ここまでムラソイ&オウゴンムラソイについてアツく語ってきたが、ムラソイの写真が1枚もないのはどうなんだ、とお叱りを受けそうだ。ムラソイは過去1回しか写真記録を残していないのがその理由であるが、ムラソイについてはまた別に詳しくご紹介したいと思っている。しかしこのぶろぐ、長いことやってきている割にはメバル属の魚の話をあまりしてきていなかったようにも思った。しばらくメバル属強化月間としたいが、いつまで続くやら。

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ウミスズメ

2023年01月22日 22時44分57秒 | 水中写真

高知県の海で遭遇したウミスズメ。ハコフグの仲間で、カタい甲だけでなく、角や棘などで武装している。それだけでなく執拗に攻撃されると皮膚から毒をだして身を守る。過剰な防衛であるがそれほど海の中では危険がいっぱいなのだろう。しかし、網を出せば簡単に捕まえられてしまう。ただし本種の場合中毒例もあるので注意が必要。とくに内臓はパリトキシンをもつ個体もいて実際にあたったこともあるので、食べないように。

浅い海からやや深い海にまで生息し、沖合底曳網漁業などで本種がとれることもある。また、稚魚は外洋を遊泳しているが、マグロなど大きな魚の餌食になることも多い。また有毒でテトロドトキシンを有すると思われるホシフグもマグロなどの胃から見つかっている。毒で防御していても、大型魚にはかなわないのかもしれない。

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