今日は本当はホラアナゴ科の何かを紹介したかったのだが、写真がなかった。だからまだ紹介していなかったポピュラー種を。スズキ目・メバル科・メバル属のアラスカメヌケ。
アラスカメヌケ、という和名よりは故阿部宗明博士が述べている「アカウオ」という名前のほうが一般的だろうか。アラスカメヌケはよく海外から輸入されているメバル属の魚である。切り身、粕漬け、あるいは顔&内臓抜きで販売されているのはたまに見るが、頭も内臓もちゃんとついた個体を見るのはもちろん今回が初めてである。アラスカメヌケ、という名前であり日本には分布しないと思われがちな本種であるが、日本では北海道から東北地方太平洋岸に分布している。海外では名前の由来となっているアラスカ~カリフォルニア半島までのアメリカ大陸西岸と、アリューシャン列島、オホーツク海、ベーリング海、カムチャッカ半島にまで分布する。今回の個体は北海道の羅臼で採集されたもの。
アラスカメヌケ頭部背面
アラスカメヌケはほかのメヌケの仲間の多くと同様に頭頂棘をもっている。後頭部に1対見える線のようなのがそれ。背鰭はふつう13棘、13~17軟条・臀鰭3棘6~9軟条。
アラスカメヌケの眼
ホウズキ(ホウズキ属)の眼
アコウダイやアラメヌケとは、眼窩下縁に棘がないことで区別できる。ホウズキやベニメヌケ(ホウズキ属)とは背鰭局数でも区別できる。ホウズキ属の魚は背鰭棘数はふつう12棘なのだ。
アラスカメヌケの下顎
ほかのメヌケの仲間にはよく似たものもいるが、アラスカメヌケは下顎が著しく前方に突き出るといった特徴がある。バラメヌケとは頭部背面に明瞭な帯が見られないという点でも区別できる。バラメヌケは頭部背面に3本の明瞭な横帯が出るのだ。アラスカメヌケの体は一様に赤色であるが、鰓蓋に黒っぽい模様が出ていたり、体側の背部に暗色の模様があったりする。
ほかのメヌケ同様にやや深海性で、アラスカメヌケは検索図鑑によれば通常、水深100~450mほどの場所に生息しているという。しかし825mで漁獲されたこともあるようだ。同じメヌケ類であるオオサガなどは水深1000mを超える深さからも獲れる深海魚だ。
「新顔の魚」によればメヌケの仲間は1970年の時点で給食、食堂、一般家庭用の惣菜と広く使用されていたようだ。様々な料理に使えるというが今回は鍋で食した。今年は関東でも11月に雪が積もるという珍しいシーズンとなったが、美味しい鍋であたたまりたいものだ。実際にこのアラスカメヌケは極めて美味なものであった。
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