魚のぶろぐ

2006/5/28~。現在復旧作業中で見苦しいところもありますが、ご容赦願います。

ツマグロカジカ

2016年11月19日 13時10分07秒 | 魚紹介

久しぶりに北海道の魚シリーズ。スズキ目・カジカ亜目・カジカ科・ツマグロカジカ属のツマグロカジカ。

カジカの仲間はよくハゼの仲間と間違えられやすい。暖かい海ではハゼの仲間が多数みられるのだが、北の海では少ない。そんな感じで北の海ではカジカの仲間が反映しているのだが、カジカの仲間はハゼの仲間より大きいものが多い。マハゼの「尺」はかなりでかいが、カジカの仲間も30cmくらいある種も何種もいる。もちろん数cmほどの小型種も多い。トゲカジカのように70cmあるものもいて、そのような個体は小さなズワイガニを丸のみにしていたりする。

ツマグロカジカも全長30cmほどになるカジカの仲間である。分布域は岩手県・島根県隠岐以北の各地沿岸で、北海道では全沿岸で見られる。このほか魚類検索によれば相模湾でも見られるようだ。生息水深は10~150mくらいで、釣り、刺網、底曳網で漁獲されている。

Fishbaseによればツマグロカジカ属魚類は北太平洋、北大西洋に7種が知られている(うち1種は西サハラ産とされているが・・・さて??)。そのうち日本産は5種。見分け方は眼隔域の骨質板の有無だ。これらの5種は頭部背面に多数の骨質板があるが、眼隔域の骨質板の分布が重要な同定形質になりうるのである。

1.骨質板が眼隔域の中央部にのみあるもの

2.骨質板が眼隔域を完全に被うもの

3.骨質板が眼隔域にない(あるいはわずかにある)もの

写真は撮り忘れたが、この個体の骨質板は骨質板が眼隔域の中央部にのみある。この特徴に当てはまる日本産ツマグロカジカ属は2種類で、ツマグロカジカとアイカジカの2種である。ツマグロカジカとアイカジカは一見よく似ており見分けにくいのだが、胸鰭の模様をみたらわかりやすい。

ツマグロカジカの胸鰭

黒くて太い帯があるのがツマグロカジカ、その胸鰭の太い帯の間に数本の細い帯があるのがアイカジカ。尾鰭の形も若干違い、ツマグロカジカは尾鰭の後縁が少し湾入するが、アイカジカはまっすぐに近いようである。ただこの個体はまっすぐに近いように見えるが。アイカジカのほうは以前写真を撮影したと思ったが、結局見つからなかった。アイカジカの分布域はツマグロカジカの分布域と似ているが、アイカジカは茨城県にまで分布している。

ほかの3種はハゲカジカ、セビロカジカ、チカメカジカで、ハゲカジカは石川県・福島県~北海道全沿岸。セビロカジカは北海道でも北東部にのみ分布する。チカメカジカは北海道の東部から岩手県・福島県に分布している。やや深い場所にいることが多いことや、カジカの仲間は同定が難しいことも多いため、あまり気にされていないのかもしれない。はたして出会うことができるかはわからないが、ぜひ出会いたい魚である。

今回はクロメヌケや近いうち紹介する予定の魚と一緒に煮て食べたが、かなり美味であった。汁物も美味しいと思われる。汁物には肝臓と卵を入れることを忘れてはならない。これも坂口太一さんからのいただきもの。ありがとうございました!

コメント
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