魚のぶろぐ

2006/5/28~。現在復旧作業中で見苦しいところもありますが、ご容赦願います。

コブシカジカ

2016年11月12日 14時09分53秒 | 魚紹介

今回登場のコブシカジカは以前このぶろぐでもご紹介したヤマトコブシカジカの近縁種である。どちらの種もスズキ目・カジカ亜目・ウラナイカジカ科の種で、コブシカジカ属に属する。この属の魚は北太平洋から4種が知られているが、日本に生息するのは2種のみ。ただしヤマトコブシカジカはコブシカジカと同種である可能性があることや、東海大学出版会から出ている「東北フィールド魚類図鑑」ではこの仲間の不明種が掲載されるなど、この属の魚種は今後増えたり減ったりしていくのだと思われる。

ヤマトコブシカジカ

コブシカジカとヤマトコブシカジカの区別の方法は、頭部の背面が多数の粟粒状の鱗に覆われるか否かで見分けるのがわかりやすいようだ。コブシカジカは頭部の背面に多数の粟粒状の鱗を有するが、ヤマトコブシカジカにはそれがほとんどない。ただし、ヤマトコブシカジカについてはこれらの位置や数について変異がある。先ほど述べたようにこの2種は同種の可能性もあるらしく、確実に見分けられるとはいえず、悩ましい。もっとも、分子分類自体が確実といえるかどうかわからないが。

コブシカジカの粟粒状鱗

基本的に深海性。水深数100m、時に水深1000mを超える深さの海底に生息しているが、たまにそれよりも浅い場所で漁獲されたりする。この個体はおそらくキチジなどを獲る刺網にかかったもの、とお伝えしたが、実際には釣りで漁獲されたもののようだ。以前に同じウラナイカジカ科のニュウドウカジカを送っていただいた友人に送ってもらったものである。この場を借りて感謝申し上げたい。

ウラナイカジカの仲間はあまり食されないのかもしれないが、実際には美味しい魚ばかりである、先ほど述べた本では「食用にしない」と書いてあるものが多かったが(東北地方では食用にされない、というわけではない。イシガキフグなどは無毒で「沖縄県では食用にする.」とされていた)、コブシカジカは同書に掲載されているウラナイカジカ類では唯一食についての記述がなされている。

寒くなってきたということもあり鍋で食したが、身は淡泊で、皮はかなり美味であった。今回の個体は雌だったので、卵も煮て食したがこれがまた美味しかった。

これで私が入手した「魚類検索図鑑」に掲載されているウラナイカジカの仲間は6種目となった。あとはヤギシリカジカ、コンニャクカジカ、ウラナイカジカ、トサカジカ、クマノカジカの5種。この5種も入手し食べてみたいものである。ウラナイカジカ科の魚は顔つきが独特なものが多く、面白いキャラクターがそろっている。

コメント
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