魚のぶろぐ

2006/5/28~。現在復旧作業中です。ご容赦願います。 ぶろぐの写真はオリジナルです。無断転載はお断りします。

フィリピン魚64.オキナワフグ

2012年06月15日 22時47分16秒 | 魚紹介

今日のフィリピン魚は、フグ科のオキナワフグChelonodon patoca (Hamilton)です。

 オキナワフグは、西部太平洋からインド洋に生息しているフグ科の1種です。日本では琉球列島に多い種類ですが、紀伊半島からも報告されてます。姿形はマフグやクサフグなど、トラフグ属の魚によく似ていますが、別属のものとされています。

体に小棘があり、クサフグTakifugu niphobles (Jordan and Snyder)(琉球列島では、おもに沖縄島に分布)に似ていますが、クサフグでは2つの鼻孔があるのですが、本種では見られません。また体側の斑点も、クサフグより大きいです。英名はMilkspotted pufferといいますが、Milkspotってなんでしょう。牛乳をこぼした跡、という意味でしょうか??

 主にマングローブ域、その周辺の汽水域、などに普通にみられる種類です。オキナワフグ属魚類は3種が知られていますが、本種以外の2種は、南アフリカ周辺に分布しています。


▲沖縄県八重山諸島産

本種にももちろん毒があります。毒の部位は生殖腺や肝臓はもちろん、皮膚や筋肉にもおよびます。日本では不明ですが、海外では死亡例もあります。


▲ツムギハゼ

以前ご紹介しましたツムギハゼYongeichthys criniger (Valenciennes)は「スカベンジャー」で、一説によれば、本種の死骸を食べて毒を蓄積するとも言われています。また、本種とツムギハゼは色彩が似るともいわれており、擬態の一例とも言えそうです。

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フィリピン魚63.カクレクマノミ

2012年06月14日 13時23分54秒 | 魚紹介

 

今回は久々に亜熱帯のサンゴの海らしい魚のご紹介。スズメダイ科、クマノミ亜科のカクレクマノミAmphiprion ocellaris Cuvierです。

スズメダイ科の魚は、日本近海だけで100以上の種が知られる大きな分類群ですが、その中で大きく2~4のグループに分けられることがあります。クマノミ亜科は、鰓蓋の後ろに棘があったり、縦列鱗数が多い、あるいは眼の後ろに大きな棘があるものがいるなどの特徴があります。生態もユニークで、一般にもよく知られるようにイソギンチャクと共生します。しかしイソギンチャクの依存の度合いは種によって違いがあり、クマノミのようにイソギンチャクのあまりない岩礁や藻場をウロウロするものもいます。

●近縁種


カクレクマノミAmphiprion ocellaris Cuvierの体側の白色帯

カクレクマノミに近縁なものとしてオレンジクラウンフィッシュAmphiprion percula (Lacepède)ペルクラ、クラウンアネモネフィッシュなどとも呼ばれる)がいますが、これは体側の白色帯が黒く縁取られることが多いです。また分布域は本種よりも南方で、ニューギニアやオーストラリア北部沿岸などに生息しています。フィリピンにも分布するとありますが、これはカクレクマノミとの混同の可能性がある、あるいは移植放流かもしれません。

模様はカクレクマノミ以上に変異に富んでいます。カクレクマノミの様な模様から、縁取りの黒の模様が広がっているものまで・・・。


クラウンアネモネフィッシュAmphiprion percula (Lacepède)

また、フィリピン・セブ島から記録されたティールズアネモネフィッシュAmphiprion thiellei Burgessと呼ばれる種類については、雑種説が濃厚とされています。この種の模様は極めてユニークなものですが、躰つきをみると、カクレクマノミの類だと思わせます。

●飼育

クマノミの仲間は美しい色彩と、本種の場合は独特な泳ぎ方により、古くから観賞魚として人気があった種類です。しかし近年(といっても10年ほど前)、とある映画の公開に影響されたか、観賞魚目的の乱獲などが行われているという話もあります(ただしその映画の舞台からか、モデルになったのは本種ではなくオレンジクラウンフィッシュではないかという説もあり)。

幸いにもクマノミの仲間は海水魚としては大きめの付着卵を産むため、研究施設、あるいは努力すれば個人宅でも繁殖が可能な種とされます。すでに様々な種類のクマノミが養殖されているほか、ユニークな模様を持つ改良品種もあります。逆に繁殖後に問題となるのが自然界への放逐です。クマノミの仲間では例を聞かないのですが、淡水魚のグッピーや、メダカの仲間、など容易に水槽内でも繁殖可能な種は、増えすぎたものなどを河川や溝に放流、それが増えたなどという話も伝わってきます(もっともクマノミなどの海水魚はそれらの淡水魚に比べると繁殖が難しいから聞かないのか)。

イソギンチャクの仲間の飼育はやや難しいものも多く、特にカクレクマノミが好むハタゴイソギンチャクの飼育については強い光が必要とされ、レベルが高いとされます。ほか、飼育下ではセンジュイソギンチャク、シライトイソギンチャク、サンゴイソギンチャクにも入るそうです。もちろんイソギンチャクがなくても飼育可能です。

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フィリピン魚62.イエローマーキングシュリンプゴビー

2012年06月13日 21時51分18秒 | 魚紹介

今日のフィリピン魚は、ハゼ科のMyersina crocata (Wongratana)です。

Fishbaseでは、コモンネームなし、英語圏ではイエローマーキングシュリンプゴビーなどと呼ばれているようです。

 本種を含むハゴロモハゼ属のハゼは「共生ハゼ」のグループです。この仲間はテッポウエビの巣穴に生息し、エビと共生しています。ハゼと共生するテッポウエビの仲間にも色々な種がいますが、本種はどの種と共生しているでしょうか。どのように採集されたかは不明でありなんともいえませんが、大型になるニシキテッポウエビあたりと共生しているのでしょうか。

背鰭が伸びており、雄のようにも見えるのですが、体側に白色の横もしくは斜帯が入るのは雌の特徴のようです。一方で背鰭の黒色斑は気になるところです。Fishbaseの個体は、この斑がないように見えます。

頭部には橙色の斑がありますが、この個体はあまり目立ちません。現地(フィリピン)で撮影された個体はよく目立っていましたが、冷凍から解凍のプロセスで色落ちしたということでしょうか。実際、チリメンヤッコなどのように黄色い鰭を持つ魚はこのプロセスで色落ちしたりということがありました。アデヤッコ、セグロチョウチョウウオ、ヒフキアイゴなども同様。しかしトゲチョウチョウウオや、シリキルリスズメダイなど、大丈夫な魚もいました。

本種は西部太平洋(フィリピン、ベトナム~タイなど)、アンダマン海に生息しています。日本からは知られていないようです。

ハゴロモハゼ属は西部太平洋やインド洋から6種ほどが知られる共生ハゼのグループですが、イトヒキハゼ属と酷似しています。孔器配列などに違いがあったり、躰がより側扁するなどの特徴がありますが、再検討が必要とのことです。

日本産は、ハゴロモハゼとクロオビハゼの2種で、このほかにもう1種未記載種と考えられる種類が本州から四国の太平洋岸から知られています。さらに、イトヒキハゼ属のイトヒキハゼを本属に入れる意見もあります。なるほど、今回のこの個体の背鰭の黒色斑は確かに、イトヒキハゼを思わせます。

※今回このハゼの同定などにつきましては、神奈川県立生命の星 地球博物館 瀬能 宏博士にお教えいただきました。ありがとうございました。

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魚とケーキ

2012年06月12日 23時41分05秒 | 魚介類を食べる

 

今月2日は私のお誕生日でした。翌3日にささやかなパーティー。

いくつになっても、誕生日は良いものです。

で、例の握りずし。うつってるのはトビハタ、アコウダイ、ヒラマサ。美味しかったです

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フィリピン魚61.イッポンテグリ

2012年06月11日 12時22分15秒 | 魚紹介

きょうのフィリピン魚は、ネズッポ科のイッポンテグリDactylopus dactylopus (Valenciennes)です。

イッポンテグリの特徴はなんといってもこの「指」です。英名のFingered dragonetも、学名も、みな「指」が入っています。これは腹鰭の棘と遊離軟条がくっついて、ほかの軟条から遊離したものです。ネズッポ科魚類の腹鰭は普通、1棘5軟条です。トップに掲載した個体は背鰭の先端があまり伸びていないのですが、よく伸びたものもいます。これが雄なのでしょうか??

この個体もフィリピン産。2011年5月に撮影しました。臀鰭を除く各鰭の模様が鮮やかです。イッポンテグリ属は1属2種で、もう1種Dactylopus kuiteri (Fricke)はインドネシアに分布しているようですが、よくわからない種類、イッポンテグリと同種とされたり、別種となったりしているよう。日本やフィリピンで見られるのは、イッポンテグリの方です。

日本にもたまに輸入されており、運が良ければ観賞魚店でも見ることができます。飼育については雑誌「コーラルフィッシュ」のVol.29に紹介されており、そちらを参考にされた方が良いと思います

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