魚のぶろぐ

2006/5/28~。現在復旧作業中です。ご容赦願います。 ぶろぐの写真はオリジナルです。無断転載はお断りします。

ハリダシエビス

2017年06月18日 11時07分24秒 | 魚紹介

以前画像でご紹介したことがありましたが、詳しくご紹介するのはこれが初めてになります。キンメダイ目・ヒウチダイ科・ハリダシエビス属のハリダシエビスです。

ハリダシエビスは魚類検索図鑑によれば水深90~302mの深い海に生息するとされていますが、浅い海の定置網でも漁獲されることがあります。写真の個体もそうで、これは高知県の古満目沖の定置網で漁獲された個体。

日本にはヒウチダイ科の魚は3属6種、または7種が生息していますが、ハリダシエビス属の魚は肛門が腹鰭の間にあること(ほかの属の肛門は臀鰭の前にある)、稜鱗が肛門の後方にある(ほかの属では肛門の前方にある)などの特徴で区別されます。

日本近海産のハリダシエビス属魚類は3種が知られていますが、基本的に日本の沿岸で見られるハリダシエビス属のほとんどは本種です。もう1種のミナミハリダシエビスは腹部にある発光器の長さや、ハリダシエビスにある鰓蓋上部の棘がないことなどで区別されます。体は黒っぽく細かい粗雑な鱗に覆われています。

ハリダシエビスは日本においては房総半島から九州までの地域に広く分布しています。海外では台湾とハワイ諸島に分布しています。一方ミナミハリダシエビスの分布域は日本近辺では九州-パラオ海嶺、海外ではこの種の種小名にもなっているサヤデマルハバンク、その近辺にあるナザレスバンクに生息するとされています。しかしハリダシエビスの分布(南日本太平洋岸、台湾、ハワイ諸島)はキンチャクダイ科のレンテンヤッコに似ているのが不思議なところです。なお、世界ではハリダシエビス属は6種が知られている模様。インドー西太平洋、ハワイ諸島と西大西洋に生息していますが、東大西洋と東太平洋には生息していないようです。

沖合底曳網で漁獲されたハリダシエビス

三重県尾鷲の定置網で漁獲されたハリダシエビスの稚魚

 

これまでハリダシエビスとは5回ほど遭遇してきました。1回目は冬の高知県古満目。トップ画像の個体で、大敷網の副産物として入手したもの。2回目は沖合底曳網漁業、海幸丸の漁獲物。3回目は宮崎県延岡、こちらも底曳網漁業によって漁獲されたもの。4回目が尾鷲の定置網。5回目は尾鷲の南、熊野の定置網にかかったもの。5回も遭遇しているのに、今回が実質初紹介となりました。しかしやっとではあるが、今回紹介できてうれしい。今年は久しぶりに尾鷲方面、あるいは沼津や遠州、土佐湾などへ深海魚探しの旅に出かけてみたいと思います。

以前アカタチ類の見分け方をこのぶろぐで書いたことがありました。ぶろぐを書いたあとすぐに観賞魚店でインドアカタチが販売されたり、浜名湖でもインドアカタチが採集されるなどしているようです。今年は近海産アカタチの当たり年になるでしょうか。だれか私にスミツキアカタチを触らせてほしいものですが。


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