昨日、某Facebookでのコミュニティに掲載されていた魚。沖縄県の浜辺で、光に飛び込んできた魚だという。暗い画像であったが、ダツ科の魚であった。よく見てみると、確実ではないがテンジクダツ属のなんかのように見える。その魚について「ダツですね」と返答してきた方がいたが、ダツとは顔の形状など大きく異なり、テンジクダツ属のものであると返答したら、その人からブチ切れされ、レスバなんていうことがあった。しかし、昨今「図鑑」サイトを見てみたら、そういうことは起こって当然ではないかと考えた。なお、そのコミュニティは「釣り」のコミュではなく、生き物の同定をお願いするためのコミュであるということも記述しておかなければならない。
「図鑑」サイトにおいて「ダツ」で検索して出てくる魚は、どうもダツではないダツ科の魚の写真が多数出てきているのである。それらの写真のうち多くはオキザヨリであるように思える。こんな「図鑑」サイトを信用したら、オキザヨリを見て「ダツ」と同定してしまう人が多く出てくるのも不思議ではあるまい。なお「図鑑」サイト、とわざわざ鍵括弧付きで表記しているのは、「図鑑」サイトを標ぼうしている割にはお粗末なサイトが近年多いからである。Wordpressで誰でもサイトをつくることができるようになったのに、そのせいで逆に利用者には不便になってしまったといえるかもしれない。
オキザヨリ頭部
オキザヨリといえばこんなこともあった。かつてダツ科のオキザヨリの写真をアップした人がいて、その写真に「オキザヨリですね」と返答した人がいたが、別の人が「どう見てもサヨリじゃないと思いますが」なんてコメントしていたこともあった。もちろん、誤同定なんて誰でもあることだが、しかしその目の前の四角い物体を操作し、調べることができたはずだろう。もっとも、最近は先述したように「図鑑」サイトで紹介されている魚なんて、画像サイトから引っ張ってくるものだから同定が怪しいものなんてゴマンとあるのだ。
ダツ
ダツは北海道南部~九州に分布し、琉球列島にはほとんど分布しない。そんなダツの類は釣りでは「外道」として、まず釣りで狙われることもないし、食用にしてうまいことはうまいのであるが、ダツ科の魚はほぼ食卓に上ることはない(サンマをのぞけば)。したがって釣り人にとっては「関心が薄い生物」になってしまう。だからテンジクダツもタイワンダツもオキザヨリもヒメダツもほかなんちゃらダツもすべて「ダツ」とひとくくりにされてしまうのだ。同様のもので「ギンポ」もいる。この名前で呼ばれる魚は本来ニシキギンポ科の魚なのであるが、釣り人にとってはタウエガジ科のダイナンギンポ属も「ギンポ」と呼んでいる。
逆に注目が高くマスコミなどにも取り上げられるが、その近縁種についても同じような名前で呼んでしまい混同を招くものに、ヒメジ科のウミヒゴイ属の魚がいる。この属の魚としては「オジサン」がそのユニークな標準和名もあり知名度が高いが、それによりほかのウミヒゴイ属のほとんどが「オジサン」と呼ばれるようになり、果てはより小型でオジサンとは大して似ないヒメジ属の魚なども「オジサン」と呼称することが起こり、混同を招いている。
なお残念ではあるが、某コミュニティにおいて、私にこのダツのことであーだこーだ言ってきた方は、残念ながらブロックしてしまったようである。うーむ。
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