魚のぶろぐ

2006/5/28~。現在復旧作業中です。ご容赦願います。 ぶろぐの写真はオリジナルです。無断転載はお断りします。

学名と英名のはなし

2024年02月14日 16時16分24秒 | 魚類とインターネット
 
魚には学名というのがあり、万国で使える(万国共通とはいえないが)唯一の学術的な名称であり、確実に覚えて起きたいものである。その学名は基本的にはラテン語であり、当然ながら日本語ではない。同じく外国語の魚の名称に英名というのがあるが、これはラテン語よりはまだ馴染みのある英語であるため、これを使っている方も多いであろう。しかし、英名には落とし穴が存在する。
 
まず、学名は属学名+種小名で表すのが原則であり、これをコンビネーションというが、同じコンビネーションはありえない。例えばマダイであれば学名はPagrus majorというが、このコンビネーションは他の動物の学名としては使えない。属が変更になると当然ながらこのコンビネーションも変化するが、それにより従来から全く同じコンビネーションが存在するために種小名が変わったものもいる。一方で英名は同じ英名を複数の魚種に使ってはいけない、というルールはない。何故かというと、英名は学術的な名称とはなり得ないからである。だから複数の種に同じ英名をつけていても何ら問題はない。
 
「元祖プレコ」ことHypostomus plecostomus。本種の種小名からこの仲間は「プレコ」と呼ばれる
 
しかしながら今回はこれが大きな問題となった。最近になって幾つかのサイトやTwitter(x)のアカウントで、「プレコが陸を歩く」という動画を公開していた。しかし、その動画で陸を歩いていたのは、プレコストムスではなく、カッリクテュス科の魚であった。カッリクテュス科はロリカリア科のプレコストムスとよく似ているが、長い髭をもち、プレコストムスの特徴である「サッカーマウス」になっていない。なんか千葉県浦安市にいるアレみたいな名前だがなんてことはない、吸盤の口という意味だ。ロリカリア科の魚はこの吸盤のような口で水槽壁面や流木に吸い付く。この仲間の小型種オトシンクルスは水草水槽のクリーナーとして入れられるほど、藻類食に特化している。
一方カッリクテュス科の魚は、鱗がびっしりと目立つ以外は普通の小型ナマズである。たいそうな名前ではあるが、アクアリストにお馴染みのコリュドラスの仲間、といえばわかりやすいかもしれない。ではどうして問題が起こってしまったのか。
 
この2つのグループにはある共通の特徴がある。それはどちらもarmored catfishという英語名で呼ばれている点である。実際にもともとの動画では英名しか紹介しておらず、その英名をGoogleってみると、強調スニペットが「ロリカリア科」を案内していることから、混乱を招くことになったようだ。イギリスのどっかの島にお住まいのトップハムハット卿ならGoogleに対し「お前は混乱と遅れを招いた!」とブチ切れているはずだ。今の時代、英名だけでは通じないなら、学名も紹介する必要がある。もっとも、カッリクテュス科もロリカリア科も南米の淡水魚。そんな魚の学名を正確に記述できるかは、また別の話になってしまうのだが。なお椎名さんはじつはカッリクチュス科(コリュドラス属含め)いい画像は持っていない。写真はすべてロリカリア科の魚となる。
コメント
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