●1950年代に「本土」の米軍基地が沖縄へ移転。
落合 辺野古の問題だけでなく、沖縄県への基地集中は「本土」による沖縄差別だと思います。誤解されている方もいますが、最初から沖縄に多くの基地があったわけではありません。
稲嶺 1950年代に岐阜県、山梨県など「本土」から米軍海兵隊が沖縄に移ってきました。
日米安全保障条約のもとで日本に米軍基地が置かれ、そのしわ寄せが沖縄に来ているわけですが、各種世論調査では日本は安全保障条約を「必要だ」と考える人がほぼ8割になります。日本という国を守るために米軍基地が必要だというのなら、全国で平等に引き受けるのが当たり前ではないでしょうか。それなのに、日本全土のたった0.6%の面積しかない沖縄に在日米軍基地の70%以上を押し付けるというのはおかしな話です。日米安保体制は、沖縄を「担保」にして成り立っています。
落合 もし「基地が必要だ」というなら、「私のところでも引き受けます」と「本土」の側から言うのが当たり前ですが、そうした声はありません。
稲嶺 戦後68年の年だった2013年、政府はサンフランシスコ講和条約が発効した4月28日を「主権回復の日」として祝いました。でも、沖縄ではこの日を、日本から切り捨てられた「屈辱の日」と呼んでいるのです。そうした事実を知らないのか、知っていて傷口に塩を塗るようなことをするのか……。
通販生活春号の表紙に田中角栄さんの言葉が引用されていましたね。「戦争を知っている世代が政治の中枢にいるうちは心配ない。だが、戦争を知らない世代が政治の中枢となったときはとても危ない」。そのとおりだと思いますよ。