ふうるふうる・たらのあんなことこんなこと

いろんなできごとを面白がってしまおうと思っています。
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よいたよりにいたしたく

2009-04-03 17:10:30 | 本や言葉の紹介
 武蔵浦和“ふうるふうる”のたらです。
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 幸田文さんの「しつけ帖」(平凡社)を読んでいたら、胸に迫る文章に何度もであいました。
 この本は、文さんが父親(幸田露伴)から受けたしつけについての文章を、文さんの娘(青木玉)さんがまとめたものです。
 幸田文さんのエッセイはずいぶん以前からかなり読んでおり、幸田露伴の教えや叱責がどれほど厳しいものかを知っているつもりでした。やられるほうはたまらない、よく逃げ出さなかったなあと。
 でもこの本を読み返してみて、少し違った思いも浮かぶようになりました。年を重ねたおかげでしょう。

 さて、ひとつを紹介させてください。

●幸田文さんが当てこすりを言われてくやしく思い、お父さん(幸田露伴)に訴えたときのこと。

 「そういうように、本当のことをいわれたときには、素直に、仰せの通りといえばいい。恥ずかしいと思ったのなら、それもそのままお恥ずかしゅうといい、御指摘いただきましたのをよいたよりにいたしたく、何卒(なにとぞ)御指導を、と万事すなおに、本心教えを乞うて、何にもせよ、一つでも半分でも覚えて取る気になれば、よかったではないか。水の流れるように、さからわず、そしてひたひたと相手の中へひろがっていけば、カッと抵抗してたかぶるみじめさからだけは、少なくものがれることはできた筈だと教えてくれ、それを教えておかなかったのは、親の手落ちで、すまないことをした、といった。今後も人中でねじられることはあろうが、もうこれからは慌てるな。刺されたと思ったら、まず一つ二つと数えて、気息をととのえるうちに、受太刀(うけだち)がわかる、という。親の手ぬかりだった、といわれてはこちらも馬鹿だった、とすまなく思った。」


私の場合ですが、何かことが起きたとき、あとからいちばん強く思いかえされるのは「カッと抵抗してたかぶるみじめさ」なのです。
 本当のことをいわれたときは素直にそれは本当のことだと認め、“本心から”教えを乞おう。それでもあざ笑うだけの相手だったら、指摘されて気づけたことを恩としよう。
 あらためてそう思いました。