ふうるふうる・たらのあんなことこんなこと

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お酒つながりで、おすすめ本をご案内

2008-01-25 15:00:45 | 本や言葉の紹介
「記憶がなくなるまで飲んでも、なぜ家にたどり着けるのか?」(川島隆太・泰羅雅登 ダイヤモンド社) 

 まあ、なんて魅力的な、そしてちょっときょわい(こわい)タイトルなんざましょ。あら、サブタイトルが「身近な酔っぱらいに学ぶ脳科学」ですって! なんだかねー、つごうの悪いことが書いてありそうだけど……。

 と、こわいもの見たさで手に取り、目次を眺めたら、「酒がもたらす脳の危険因子」「酒を飲むと、脳は萎縮する」「アルコールが含まれている限り、飲めば同じ」「二日酔いを学習しない人たち」……。

 やっぱりきょわい。でも、読んじゃいました。いやあ、面白かった。

●アルコールで理性の抑制が外れている状態は、特にメリットはないと言う人もいます。いや、そうじゃない、その状態にこそメリットがあるのだ、と言う人もいます。前者は飲まない人ですし、後者は飲む人です。


 その通りに、ところどころに、“飲めない”川島氏(専門は脳機能イメージング学)と、“底なし”泰羅氏(専門は認知神経科学)が、それぞれの視点からコメントしているところがあります。たとえば次のようにです。


●脳の反応制御課題テスト……脳の活動を機能的MRIで計測した結果について
 正答率は飲酒前90パーセント、飲酒後88パーセントと、ほとんど変化しませんでした。ですが、判断するスピードは、飲酒後のほうが速くなっていました。つまり、より早く正解に到達していたのです。飲酒後には、脳活動が増加していることも確認できました。脳を計測したところ、脳の活動領域が飲酒前より多くなっていたのです。
 この結果、私たちは二つの結論に到達しました。
・結論その一(“底なし”泰羅の解釈)
反応時間が速くなっていて、正答率はほとんど変わらないのだから、脳内の情報処理がよりスピーディーになっているのです。より多くの部分が活性化した脳は、情報処理能力を高めていたと考えられます。ほろ酔い状態になれば、判断が速くなる、情報処理能力が高まる、と考えられるのです。
・結論その二(“飲めない”川島の解釈)
 もう一つの解釈としては、お酒を飲んだ状態では、同じ課題に取り組むにしても、より多くの脳の領域を活性化しなくてはならなかった、と考えます。つまり脳全体の機能が低下したので、それをカバーするためにより多くの部分が活性化しなくてはならなかったのではないでしょうか。反応時間が速くなったのは、酔って抑制が外れたため、いわゆる酔った勢いで適当に判断したからだ、と言えなくもないのです。
 どちらの結論が正解なのか、研究はまだ道半ばなので、今のところは決着がついていません。



 いやー、人間、自分に都合がいいように解釈するもんです。統計やデータだって、使う人によって意味づけが正反対になっちゃったりするのと同じね。

 生涯に飲むアルコール量が多いほど、人間らしさの源である脳の前頭前野の細胞から消えていき、縮んでいくんだそうです。それは、どんなお酒でもどんな飲み方をしても、アルコールが含まれている限り、飲めば同じ。

 お酒の誘惑に負けて飲みすぎないようにする強い意志をもつには、前頭前野を鍛えるとよいそうですが、料理をすることが効果的なのですって。料理をすると、すべての過程で脳が活性化するということです。そういえば、「聡明な女は料理がうまい」(桐島洋子)という本がありましたね。

 この本、飲みすぎて記憶がなくなる理由、それでも家にたどり着ける理由、お酒に強いとは、どんな飲み方がよいか等々、基本的なことや、「えっ、そうだったの!」がとてもわかりやすく書かれていますよ。おすすめです。