語られる言葉の河へ

2010年1月29日開設
大岡昇平、佐藤優、読書

【佐藤優】オカネの使い方とインテリジェンス

2018年05月07日 | ●佐藤優
土屋/オカネが話題になりましたが、人間誰しもオカネの魔力にはなかなか逆らえないものですね。

佐藤/コーラがいくら好きでも、10本も飲めませんね。お酒がいくら好きでも、ワインをフルボトルで2本も3本もガブガブ飲んで平気な人なんていません。いくら恋愛が好きでも、3~4人と同時に付き合ったら精神的におかしくなってしまいます。

塙/二股かけているだけで破滅ですよね。

佐藤/ところがオカネについては、10万円もらえば100万円ほしくなります。100万円を手にすれば1千万円がほしくなるわけです。1千万円もらえるようになったら、今度は1億円がほしくなります。
 われわれの情報の世界では、オカネが大好きな人を情報源にしません。情報の仕事を長くやっていると、ある時期から人の顔が値札に見えるようになります。機微に触れる情報を得るためには役所の予算を使うことがありますし、「この人の情報価値は×万円だな」と頭の中で計算してしまうわけです。

土屋/一般企業でも取引相手を接待することがありますし、似たようなところがあるかもしれません。

佐藤/情報の世界では「この人が持っている情報には×万円の価値がある」「1回限りの付き合いならば、いくら払うに値するか」「定期駅に情報提供してもらうために、協力費として毎月10万円ずつ支払おう」なんて計算するわけです。こういう報酬の支払い方をしていると、次第に情報の内容が荒れてきます。

塙/固定給みたいに謝礼が支払われると、だんだん緊張感が薄れてきてしまいそうですね。

佐藤/そのとおりです。毎月10万円もらえるのが当たり前になっちゃうと、精度の高い情報を無理して仕入れようとは思わず、情報提供者が横着し始めるわけです。ですから、良い情報をもってきたときには20万円、悪い情報を持ってきたときには1万円支払うといった歩合制にしてみます。すると今度は、捏造情報をつかまされる危険が出てくるんですよ。

塙/捏造情報ですか。

佐藤/「相手がほしがっている良い情報は何か」と考えるうち、情報の内容に妙なバイアス(偏り)がかかったり、不正確な情報が混じってくるのです。オカネが露骨にからむと、情報の世界ではロクなことがありません。
 情報提供者がものすごく苦労して良い情報を取ってきたときには、ボーナスなんて支払わず「ありがとう」のひと言で済ませてしまう。そのかわり、別の機会に「お誕生日おめでとう」と言って30万円を包んだり、「ウチの奥さんの歯並びが悪くてね」なんて雑談が出たtきに、歯の矯正代50万円をポンとプレゼントしてしまう。周囲の人間関係を利用して、情報とオカネの間に対価性がないようにするのも情報の世界のやり口です。

□佐藤優×お笑い芸人ナイツ(土屋伸之・塙宣之)『人生にムダなことはひとつもない』(潮出版社、2018)の「第4章 仕事とおカネの心得」の「オカネの使い方とインテリジェンス」を引用

 【参考】
【佐藤優】やりたくない仕事はスパッと断る
【佐藤優】「本当に好きな仕事」は長続きする

 

【保健】電子たばこで禁煙成功率が向上 ~約16万人の全米調査~

2018年05月07日 | 医療・保健・福祉・介護
 (1)電子たばこの健康リスクに関しては結論は出ておらず、各国の政策もバラバラだ。
 たとえば英国では、ニコチンリキッドを使う電子たばこが禁煙補助剤として利用されている。一方オーストラリアでは、ニコチンリキッドの販売自体が全面的に禁じられている。
 米国食品医薬品局の対応は、その中庸をいくもので、紙巻きたばこ同様に18歳未満への販売を禁止し、包装紙に健康に関する警告を表示するよう指示を出している。

 (2)ところがこの電子たばこ、米国で「紙巻きたばこの禁煙」を後押ししているらしい。
 米国では2010年ごろから電子たばこの利用者が爆発的に増加。現在は全喫煙者のうち、15~30%が電子たばこを利用していると推測されている。
 米カリフォルニア大学の研究グループは、14~15年の全米たばこ調査(CPS-TUS)のデータを基に、電子たばこ利用者と禁煙との関連を分析。約16万人の回答者のうち、直近の1年間に電子たばこを利用した人のほうが、禁煙成功率が高い傾向を認めた。
 この場合の禁煙成功とは、3カ月間は紙巻きたばこを吸わずに済んだケースを指し、禁煙成功率は電子たばこ利用者8.2%に対し、非利用者4.8%。さらに電子たばこ普及以前と以後では、調査対象の集団の禁煙成功率も有意に向上していることが判明している。

 (3)研究者は電子たばこの普及が禁煙成功率に影響したと指摘し「たばこ政策立案の際に、慎重に検討すべき知見だ」としている。
 日本でも電子たばこがじわじわ市民権を得つつある。海外の調査・研究結果を総合すると、電子たばこは、喫煙経験がない若年層で「喫煙の入り口」になるリスクがある一方、筋金入りの喫煙者の「禁煙」を補助する役割が期待できるようだ。禁煙したい人は、英国式に禁煙補助剤として電子たばこを利用する方法もありだろう。

□井出ゆきえ(医学ライター)「電子たばこで禁煙成功率が向上/約16万人の全米調査で判明 ~カラダご医見番・ライフスタイル編 No.364~」(「週刊ダイヤモンド」2017年9月9日号)

 【参考】
【保健】完璧主義者の抑鬱 ~親友に接するように自分にやさしく~
【保健】子どものエナジードリンク摂取 ~米国スポーツ医学会が警告~
【保健】高血糖で認知機能が低下 ~健康的な生活が脳を守る~
【保健】心筋梗塞の自覚症状は? ~吐き気や腹痛、男女差も~
【保健】世界各国のパンを比較 ~意外に塩分が高いと判明~
【保健】片頭痛持ちは脳・心血管に注意 ~特に診断後の数年間は節制を要す~
【保健】高い平熱は1年死亡リスクと関連? ~男性も基礎体温を測ってみよう~
【保健】急性虫垂炎の治療は手術か、薬か? ~外科医が選ぶのは~
【保健】シリコンバレーの贖罪? ~元役員らがネット依存警鐘団体~
【保健】花粉症シーズン始まる ~今年の飛散量は多いか、少ないか~
【保健】トマト2個で肺機能を守る ~「前」喫煙者にも効果~
【保健】ナッツを食べて心疾患を予防 ~1日30グラムのお手軽健康法~
【保健】ついに薬もIoT ~胃液センサーで服薬管理~
【保健】犬を飼うと長生きする ~特に、一人暮らしにお勧め~
【保健】何年禁煙したら帳消しになるか ~女性は11年、男性は~
【保健】食後の血糖値スパイク ~カーボ・ラストでまったり改善~
【保健】米砂糖業界の苦々しいお話 ~不利なデータを半世紀も隠蔽?~
【保健】対人過敏は早く老ける? ~遺伝子レベルに影響~
【保健】慢性便秘に「考える人」 ~全国1,000万人のお悩みに~
【保健】ストレスでがんリスク上昇 ~ただし、男性に限る~
【保健】死亡率が最大5倍超に ~がん代替療法の選択で~
【保健】認知症と性格の関係 ~責任感は予防的に働く~
【保健】手洗い励行の季節 ~CDC推奨の方法は~
【保健】何を食べていましたか? ~認知良好な69~71歳の場合~
【保健】SNSに投稿した写真が鬱病診断の手がかりに?
【保健】もし妻が乳がんに罹患したら ~10月はピンクリボン月間~
【保健】ダイエット法の新説は最大18時間の絶食 ~朝・昼2食でBMI低下~
【保健】秋の登山でも水分補給を ~脱水係数で消費量を把握~
【保健】歯周病と全身疾患との関係
【保健】尿のpHで糖尿病の発症予測 ~酸性度が高いとリスクが上昇~
【保健】ビタミンB群の過剰摂取にご注意 ~男性の肺癌発症リスクが上昇~
【保健】長距離タイムは血液型しだいか ~影響は普段の練習に匹敵~
【保健】活動格差が肥満を招く ~72万人に対する調査で判明~
【保健】認知症の発症を予防する/10代から意識すべき9因子
【保健】10代の望まない妊娠を防ぐ ~長期間効果がある避妊法を選択~
【保健】糖尿病網膜症リスクを軽減 ~26メッツ・時/週以上の運動~
【保健】ヒアリにどう対処する? ~アナフィラキシーに注意~
【保健】鬱に効くボルダリング ~悲観的な自動思考を解消~
【保健】主食をしっかり食べると公平な判断ができる
【保健】梅雨明け~お盆は熱中症の季節 ~危ない人、予防と対応法~
【保健】塩分過剰で空腹に ~高血圧どころかメタボに~
【保健】満腹より栄養素に目を向けて ~収入が低い世帯は主食頼み~
【保健】だるいときほど階段昇降を ~カフェインより効果的~
【保健】成人ADHDの予備診断 ~六つの質問でクリーニング~
【保健】“ベンゾ系薬剤”に注意 ~常用量でも薬物依存を形成~
【保健】ギャンブル依存症ってなに? ~最新の定義は「プロセス依存」~
【保健】グルテンフリー食の功罪 ~結局、2型糖尿病に?~
【保健】アジア系2型糖尿病でも全がん死リスクが上昇
【保健】「男の更年期」改善効果に疑問符 ~テストステロン補充療法~
【保健】狩猟・採集民族のチマネの人々に学ぶ ~現代的な生活は健康リスク~
【保健】玄米でカロリー消費! ~30分程度の運動に匹敵~
【保健】1日あたり0.5合程度が上限 ~認知症を予防する飲酒量~
【保健】電子たばこで禁煙補助? ~英米で見解の相違~
【保健】二つの睡眠時無呼吸症候群 ~閉塞性か中枢性かで違い~
【保健】不安やうつはがんの初期症状? ~結腸・直腸、膵臓などで関連~
【保健】赤身肉は魚や鶏肉に置き換えて ~大腸憩室炎の発症リスクを軽減~
【保健】学会監修の防災セットが限定発売 ~心臓を守るリストも~
【保健】前立腺癌の手術で優れているのは ~ダ・ヴィンチvs人の手~
【保健】サウナで認知症リスクが低下 ~本場フィンランドの報告~
【保健】ポケモンGOで運動量up! ~仲間でワイワイの効果~
【保健】「過剰診断」か「見落とし」か ~マンモグラフィー検診のリスク~
【保健】悪性腫瘍ばりの「足の狭心症」 ~運動・喫煙で早期に対応を~
【保健】ワクチンを接種し損ねても ~インフル予防に補中益気湯~
【保健】高齢者は健康な生活、他方、若い世代は生活習慣に課題
【保健】子供の感染性急性胃腸炎に ~家庭でできる経口補水療法を~
【保健】痛風発作の薬は低用量で/米国のガイドラインが推奨
【保健】社会文化的伝統は肥満のもと ~年末~春は危険だらけ~
【保健】サルコペニア肥満で糖尿病!? ~筋肉減でインスリン分泌低下~
【保健】子どもの砂糖摂取量は1日25g以下に ~肥満症対策のため清涼飲料より水~
【保健】偽薬効果は学習効果? ~慢性的な腰痛が軽減~
【保健】中高年の性行動と認知機能
【保健】揚げ物はレジリエンス(心の弾力・回復力)に悪影響?
【保健】カロリー制限か運動療法か、どちらか一つじゃダメか?
【保健】遺伝子検査で再発リスクを評価 ~乳癌、抗癌剤治療の回避も~
【保健】慢性疲労症候群に関係か ~腸内細菌叢~
【保健】脳トレに有酸素運動をプラス ~認知機能と記憶力が向上~
【保健】標準体重なのに2型糖尿病?/BMIが「1」増加しただけで
【保健】受動喫煙は確実に癌、脳・心疾患、乳幼児突然死症候群を生む
【保健】嫌な気分の時こそ、動く ~うつ病治療に行動活性化療法~
【保健】孤独リスクも欧米化する?/宴会文化が廃れた後は
【保健】茶カテキンによる肝障害でノルウェーがサプリメント含有量規制へ
【保健】学んで4時間後に運動すると記憶が定着 ~記憶術~
【保健】飲む抗癌剤で生存率改善へ ~膵臓癌の再発を抑制~
【保健】恐竜も腫瘍を患う ~癌は進化の宿命~
【保健】高血圧にはモーツァルト ~安静に寝ているより効果的~
【保健】塞栓症リスクが低いピルは?/エストロゲン量と黄体ホルモンで違い
【保健】悲しいと食べすぎる ~食べ放題は幸せなときに~
【保健】「夏の蚊対策国民運動」 ~ジカ熱対策~
【保健】2型糖尿病発症にも民族差/アジア系は「BMI23」でリスク
【保健】ジャガイモに高血圧リスク/ノンオイルでも要注意 
【保健】ADHDに「ゲーム療法」?/2製品が臨床試験へ
【保健】男性は運送業、女性は医療・介護 ~メタボになりやすい業種~
【保健】健康生活の王道は「食」 ~食事バランスガイドと死亡率~
【保健】眼底検査で何がわかるか ~眼疾患だけではない~
【保健】弾性ストッキングが効果的 ~エコノミークラス症候群対策~
【保健】マインドフルネスで腰痛改善 ~認知行動療法と同じ効果~
【保健】歯磨きが心血管疾患を予防 ~毎食後で発症リスクを軽減~
【保健】ガン=生存時代の就労支援 ~治療と仕事の両立に指針~
【保健】糖尿病患者の降圧目標値 ~140mmHgでよい?~
【保健】睡眠不足でスナック菓子を渇望、体重増加 ~大麻並みの快楽
【保健】コーラ1缶で薬の吸収率がアップ ~抗癌剤の薬効~
【保健】その一言で妻の2型糖尿病リスクが減少 ~「先に寝ていて」~
【保健】先進国では認知症が減少? ~予防の鍵は生活習慣の改善~
【保健】生活設計は長期戦か短期決戦か ~癌の臓器別・病期別生存率~
【保健】イチゴとオレンジはEDに効く ~米国の研究報告~
【保健】高齢者の服薬適正化にGL ~容易な多剤併用に警鐘~
【保健】朝食抜きに脳卒中リスク 阪大など調査 大規模調査で1.18倍高
【保健】下剤は脳・心血管疾患リスク> ~背景にストレスや運動不足~
【保健】高脂肪食でシナプスが消失? ~動物実験~
【保健】2型糖尿病とフライド・ポテトとの関係 ~ポテトは煮物で~
【保健】世帯の所得と健康リスクの関係 ~食習慣と飲酒習慣~
【保健】抗がん剤の価格差は最大4倍以上 ~WHOの調査~
【保健】より危険な睡眠時無呼吸 ~脳・心疾患のリスク増~
【保健】初日の出の心身的効果 ~鬱対策は光を浴びて~
【保健】日本人肥満男性の食事と運動 ~糖尿病予防~
【保健】適性な「降圧目標値」 ~120未満で関連疾患が3割低下~
【保健】自由な裁量権でスリムに ~ストレスでメタボ~
【保健】目の老化には赤と緑と橙色 ~加齢黄斑変性症の予防~
【保健】早期発見のためにエコーと併用 ~乳がん検診~
【保健】骨折予防はカルシウムのほかに・・・・
【保健】前糖尿病患者は食習慣の改善を ~全国糖尿病週間~
【保健】糖質制限より脂質制限? ~体脂肪を減らす~
【保健】受動喫煙が歯周病リスクに ~ただし男性のみ~
【保健】貧乏ゆすりが命を救う? ~マナーより健康~
【保健】「高収入の勝ち組」の健康リスク? ~50歳以上の有害な飲酒~
【保健】照明用白色LEDのブルーライトは安全か?
【保健】目の愛護デー ~緑内障による失明を予防~
【保健】長時間労働は脳卒中リスク ~週41~48時間でも上昇~
【保健】ほぼ毎日食べると、死亡リスクが14%減少 ~唐辛子~
【保健】水族館でリラックス効果 ~血圧・心拍数に好影響~

【本】対テロ戦争の最前線 ~『レッド・プラトーン 14時間の死闘』~

2018年05月07日 | 批評・思想
★クリントン・ロメシャ(伏見威蕃・訳)『レッド・プラトーン 14時間の死闘』(早川書房 2,500円)

 (1)すでに、16年が経過した。2001年9月11日の米同時多発テロ事件を受けて始まった米国の「テロとの戦争」は、米国史上最長の戦争となっている。直接的な当事者でない日本人には、どうしても無関係な戦いのように感じられるが、今回、紹介する体験記は、そうした距離感を完全に吹き飛ばしてくれる。
 著者は、2009年10月に中央アジアのアフガニスタンにあった米軍の前哨拠点の一つで発生した「キーティングの戦い」に参加した兵士である。クリントン・ロメシャ元米陸軍2等軍曹は、戦闘の激しさから全米でも大きな注目を集めた戦いにおける戦功が認められ、後に米兵が個人として受ける最高位の名誉勲章を叙勲された人物だ。

 (2)本書の特色は3点ある。
  (a)まず、何といっても戦闘描写の鮮やかさである。キーティングの戦いは、戦略的価値の乏しい前哨拠点に駐留していた50人の米兵が、突然、300人ものタリバン兵による一斉攻撃を受けた。それから14時間にわたって続いた悲惨な戦闘の様子が、時系列を追って詳細に描かれている。
 著者は、ドキュメンタリー化に当たり、当事者としての体験ばかりでなく、関係者にも相当のリサーチを行ったことが見て取れる。
  (b)次に、それらの人物の描写が徹底してリアルな点だ。得てして戦記物には、登場人物を英雄化したり美化したりする傾向が見られる。だが、本書は一般的な兵士の強烈な個性や歪んだ性格などをありのままに描く。それが、かえって物語にリアリティーを与えている。
  (c)最後は、戦略的な間違いを戦術で取り返すことの難しさを実感させてくれるところであろう。

 (3)そもそもキーティングの戦いが起こったきっかけは、米軍がアフガニスタンで「反政府活動制圧ドクトリン」に基づいて、ヘリコプターがなければ移動できないような孤絶した地区に前哨拠点を置いたことだ。この戦略的な間違いのおかげで、戦術レベルで兵士が苦悩する様子が生々しく描かれる。
 上層部の判断ミスにより、現場にしわ寄せが及ぶ--。こうした顛末は、日本のビジネスマンにも共感できる部分がありそうだ。

 (4)本書に批判するべき点があるとすれば、戦闘相手のタリバン側の事情についてほとんど触れられていないことである。本書は、あくまでも米国側の視点に立ったもので、「なぜこの戦いが行われたのか」という根本的な問題から目がそらされてしまう懸念がある。
 ただし、圧倒的な筆力と語り口により、最前線での米兵の戦いを“手に汗握る物語”として読み進められるところは秀逸である。

□奥山真司(IGIJ(国際地政学研究所)上席研究員)「米兵のありのままが描かれた実録・テロとの戦争の最前線  ~私の「イチオシ収穫本」~」(「週刊ダイヤモンド」2018年5月12日号)

 【参考】
【片山善博】【本】地域づくりの要諦を学ぶ ~『地域からつくる 内発的発展論と東北学』~
【本】世界中で食べられるトマト缶 ~消費者が知らない驚愕の事実~
【本】移民政策の得失を冷静に分析 ~キューバ移民の第一線学者~
【本】戦前から日本は変わらず ~1940年体制~
【本】いかに“米中戦争”を避けるか ~歴史から国際政治を類推する~
【本】つげ義春は文章も面白い ~『つげ義春とぼく』~
【本】バブルを描く古典的名著 ~『バブルの物語 暴落の前に天才がいる』~
【本】塩野七生、最後の歴史大長編 ~『ギリシア人の物語3』~
【本】日本銀行はどのようにして政治的に追い込まれたのか ~『日銀と政治 暗闘の20年史』~
【本】最悪の選択は現状維持と分析 ~黒田日銀の5年間を問う好著~
【本】麻薬撲滅のための経済学思考 ~アピールと説得の理論と方法~
【本】モンゴルのユーラシア制覇 ~『モンゴルvs.西欧vs.イスラム 13世紀の世界大戦』~
【本】歴史はどう繰り返すのか ~『歴史からの発想』~
【本】社会変革のヒントを得る ~『フィンランド 豊かさのメソッド』~
【本】時流に流されないために ~『誰か「戦前」を知らないか 夏彦迷惑問答』~
【本】戦争の矛盾がよく理解できる/存在自体が珍しい軍事技術書 ~『兵士を救え! (珍)軍事研究』~
【本】北朝鮮核危機を描く労作 ~『ザ・ペニンシュラ・クエスチョン』~
【本】スウェーデンの高福祉で高競争力、両立の秘密 ~『政治経済の生態学』~
【本】ネット時代のテロリズムはどこから生まれてくるのか ~『グローバル・ジハードのパラダイム: パリを
【本】1920年代の経済報道に学ぶ ~『経済失政はなぜ繰り返すのか メディアが伝えた昭和恐慌』~
【本】朝日新聞・書評委員が選ぶ「今年の3点」(抄)
【本】著者の知的誠実さに打たれる日韓問題を深く理解できる書 ~『「地政心理」で語る半島と列島』~
【本】人の判断はなぜ歪むのか/2人の研究者の友情物語 ~『かくて行動経済学は生まれり』~ 
【本】エネルギーの本質を学ぶ ~『エネルギーを選びなおす』~
【本】JR九州の勢いの秘密を凝縮 ~読んで元気が出る人間の物語~
【本】日本は英国の経験に学べ ~『イギリス近代史講義』~
【本】噴火の時待つ巨額損失のマグマ ~『異次元緩
【本】“立憲主義”の由来を知る ~『立憲非立憲』~
【本】日本語特殊論に与せず ~『英語にも主語はなかった』~
【本】小国の視点で歴史を学ぶ ~『石油に浮かぶ国/クウェートの歴史と現実』~
【本】日本における婚姻を考える ~『婚姻の話』~
【本】元財務官僚のエコノミストが日本経済復活の処方箋を説く ~『日本を救う最強の経済論』~
【本】歴史を知らずに大人になる不幸 ~『戦争の大問題 それでも戦争を選ぶのか。』~
【本】私たちの食卓はどうなるのか ~工業化された食糧生産の脆さ~
【本】歪み増殖していく物語に迷う ~『森へ行きましょう』~
【本】加工食品はどこから来たのか ~軍隊と科学の密な関係~
【本】80年代中世ブームの傑作 ~『一揆』~
【本】万華鏡のように迫る名著 ~『新装版 資本主義・社会主義・民主主義』~
『【本】『世界をまどわせた地図』
【本】率直過ぎる米情報将校の直言 ~『戦場 -元国家安全保障担当補佐官による告発』~
【佐藤優】宗教改革の物語 ~近代、民族、国家の起源~」」
【本】舌鋒鋭く世の中の本質に迫る/地球規模で読まれた洞察の書 ~『反脆弱性』~
【本】【神戸】「自己満足」による過剰開発のツケ ~『神戸百年の大計と未来』~
【本】英国は“対岸の火事”にあらず ~新自由主義による悲惨な末路~
【本】人材開発でもPDCAを回す ~戦略的に人事を考える必読書~
【本】仮想通貨が通用する理屈 ~『経済ってそういうことだったのか会議』~
【本】進化認知学の世界への招待 ~『動物の賢さがわかるほど人間は賢いのか』『動物になって生きてみた』~
【本】「戦争がつくっった現代の食卓」 ~ネイティック研究所~
【本】IT革命、コミュニケーションの変容、家族の繋がりが希薄化 ~『「サル化」する人間社会』~
【本】生命はいかに「調節」されるかを豊富な事例で解き明かす ~『セレンゲティ・ルール』~
【本】メディアの問題点をえぐる ~『勝負の分かれ目 メディアの生き残りに賭けた男たちの物語』~
【本】テイラー・J・マッツェオ『歴史の証人 ホテル・リッツ』
【本】中国から見た邪馬台国とは
【本】核兵器は世界を平和にするか ~著名学者2人がガチンコ対決~
【本】『戦争がつくった現代の食卓 軍と加工食品の知られざる関係』
【本】梅原猛『梅原猛の授業 仏教』
【本】東芝が危機に陥った原因は「サラリーマン全体主義」 ~『東芝 原子力敗戦』~
【本】バブル崩壊後の経済を総括 ~『日本の「失われた20年」』~
【本】20世紀英国は実は軍事色が濃厚 ~通念を覆す『戦争国家イギリス』
【本】時代による変化、方言など ~『オノマトペの謎 ピカチュウからモフモフまで』~
【本】冷笑的な気分に喝を入れる警告と啓発に満ちた本 ~『日本中枢の狂謀』~
【本】物質至上主義批判の古典 ~『スモール イズ ビューティフル』~
【本】日本近現代史を学び直す ~『それでも、日本人は「戦争」を選んだ』~
【本】精神の自由掲げた9人の輝き ~『暗い時代の人々』~
【本】遊牧民は「野蛮」ではなかった ~俗説を覆すユーラシアの通史~
【本】いつも同じ、ブレないのだ ~『ブラタモリ』(1~8)~
【本】分裂する米国を論じた労作 ~『階級 「断絶」社会 アメリカ』~
【本】否応なきグローバル化、つながることの有用性 ~「接続性」の地政学~
【本】読書の効用、ゆっくり丹念な ~より速く成果を出すメソッド~
【本】国谷裕子『キャスターという仕事』